「埼玉が全国1位のもの」を、政府統計だけで確かめました。順位表を1件ずつ開いて2位以下まで確認した結果、はっきり1位と言えたのは7つ。そして、日本一だと思われている有名なものが、いくつも1位ではありませんでした。
政府統計で確認できた全国1位は7つ
| 項目 | 埼玉県 | 2位 | 調査 |
|---|---|---|---|
| 市の数 | 40市 | 愛知県 38市 | 2026年9月20日現在 |
| 県外へ出る人の割合 | 13.89% | 奈良県 12.98% | 2020年国勢調査 |
| さといもの収穫量 | 17,600t | 宮崎県 11,800t | 令和6年産 |
| パンジーの出荷量 | 7,520千本 | 神奈川県 5,440千本 | 令和6年産 |
| 医薬品の生産金額 | 8,731億円 | 栃木県 8,560億円 | 令和6年 |
| ごみの埋立率 | 16.1% | 宮崎県 13.2% | 2023年度 |
| ひな人形の出荷額 | 約37億円 | 順位表は未確認 | 令和5年実績 |
市の数は40で全国1位
埼玉県の市は40。政令指定都市のさいたま市を含めた数です。2位は愛知県の38市、3位は千葉県の37市で、面積が圧倒的に広い北海道は35市と4位にとどまります。
県全体では40市22町1村の63市町村。村が1つしかないのも、市の多さの裏返しです。人口が集中して市制を敷いた自治体が多く、平成の大合併でも市の数が減りにくかったことが効いています。さいたま市の10区を足すと、県内の行政区画は73になります。
県外へ出る人の割合が全国1位
県内に住む人のうち、通勤や通学で県外へ出る人の割合(流出人口比率)は13.89%で全国1位。2位は奈良県の12.98%、3位は千葉県の12.70%です。
上位3県はいずれも大都市の隣にあります。埼玉から東京、奈良から大阪、千葉から東京という構図がそのまま順位になりました。昼間の人口を夜間の人口で割った昼夜間人口比率も、埼玉県は89.6%で全国47位。昼間はおよそ10人に1人が県の外にいる計算です。
さといもとパンジーが1位。ねぎもほうれんそうも「2位」
農産物で全国1位を確認できたのは2品目でした。
| 品目 | 埼玉県 | 2位 | 全国 |
|---|---|---|---|
| さといも(収穫量) | 17,600t | 宮崎県 11,800t | 118,900t |
| パンジー(出荷量) | 7,520千本 | 神奈川県 5,440千本 | 96,900千本 |
さといもは2位の宮崎県に5,800tの差をつけています。パンジーは花壇用の苗もので、埼玉が全国のおよそ8本に1本を出しています。
おもしろいのはここからで、埼玉には「2位」が異様に多いのです。
| 品目 | 埼玉県(2位) | 1位 |
|---|---|---|
| ほうれんそう | 19,600t | 群馬県 22,600t |
| ねぎ | 46,400t | 茨城県 50,200t |
| かぶ | 14,600t | 千葉県 25,400t |
| ブロッコリー | 14,500t | 北海道 29,700t |
| こまつな | 12,600t | 茨城県 29,100t |
いずれも令和6年産の収穫量です。ほうれんそうは群馬県と3,000t差、ねぎは茨城県と3,800t差。あと一歩の2位が5品目という、いかにも埼玉らしい結果になりました。
パンジーの統計は、一部の道県が数値を公表していません。正確には「公表されている都道府県の中で1位」です。
医薬品の生産金額とひな人形の出荷額
工業では、医薬品の生産金額8,731億円が全国1位でした。2位は栃木県の8,560億円で、その差は171億円と僅差です。全国の生産金額10兆2,485億円のうち、埼玉県が最も大きな部分を占めています。
ひな人形・節句人形の出荷額約37億円も、埼玉県が全国1位と公表しています。岩槻と鴻巣の産地があるためですが、こちらは2位以下の県が公表されておらず、順位表そのものは確認できませんでした。根拠は総務省・経済産業省の2024年経済構造実態調査(令和5年の実績)です。
なお埼玉県は、2018年の工業統計をもとにアイスクリーム・段ボール箱・精米・ビスケット類・化粧水・香辛料・中華めんなど16品目で全国1位としています。ただし工業統計調査は2020年の調査を最後に廃止されており、現在も1位かどうかは確認できません。製造品出荷額の全体では、埼玉県は15兆3,297億円で全国6位です。
ごみの埋立率という、自慢しにくい1位
ごみの埋立率16.1%も全国1位でした。2位は宮崎県の13.2%、全国平均は8.1%なので、全国平均の約2倍を埋め立てに回していることになります。2023年度の数字です。
1位が必ずしも誇れるものとは限らない、という例です。リサイクル率のほうは全国平均を下回っており、ここは埼玉県の課題として残っています。
熊谷はもう「日本一暑い街」ではありません
ここがいちばん大きな変化です。気象庁の歴代全国ランキングを確認すると、熊谷市の41.1℃(2018年7月23日)は現在6位タイ。1位は群馬県伊勢崎市の41.8℃(2025年8月5日)です。
| 順位 | 地点 | 気温 | 記録日 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 群馬県 伊勢崎 | 41.8℃ | 2025年8月5日 |
| 2位 | 静岡県 静岡 | 41.4℃ | 2025年8月6日 |
| 2位 | 埼玉県 鳩山 | 41.4℃ | 2025年8月5日 |
| 4位 | 群馬県 桐生 | 41.2℃ | 2025年8月5日 |
| 6位 | 埼玉県 熊谷 | 41.1℃ | 2018年7月23日 |
2025年8月5日の記録的な猛暑で、上位が一気に塗り替えられました。埼玉県内でも、熊谷はもう最高記録の地点ではありません。比企郡鳩山町の41.4℃が県内最高で、こちらは全国2位タイに入っています。
「暑さ日本一の熊谷」は2018年から2025年までの7年間の話で、いまは「全国6位タイ」が正確です。
日本一と言われているが、違ったもの
狭山茶
「色は静岡、香りは宇治、味は狭山でとどめさす」と歌われますが、生産量は別です。令和6年産の荒茶生産量は埼玉県838tで、1位の鹿児島県27,000t、2位の静岡県25,800tとは桁が違います。味の評価と生産量は別の話ということです。
河川面積の割合
「県土に占める河川面積の割合が日本一」とよく紹介されますが、国土交通省の河川データブック2025に都道府県別の河川面積の表はなく、確認できませんでした。この記事では1位として扱っていません。
公民館の数
文部科学省の社会教育調査では、都道府県別の公民館数の表を確認できませんでした。一方で長野県が公式サイトで「公民館の数 日本一」と公表しています。埼玉県が1位という根拠は見つかりませんでした。
鯉のぼり・足袋・鋳物
いずれも「かつて日本一」でした。加須市の公式サイトは鯉のぼりについて「第二次世界大戦前には、生産量日本一となりました」と過去形で書いています。行田の足袋も、文化庁の日本遺産の説明が「最盛期には全国の約8割の足袋を生産するまでに発展した」という書き方です。川口の鋳物も、現在も全国1位とする統計は確認できませんでした。
よくある質問
埼玉が全国1位のものはいくつありますか
今回、政府統計の順位表まで確認できたのは6件(市の数、流出人口比率、さといも、パンジー、医薬品の生産金額、ごみ埋立率)です。ひな人形の出荷額を加えると7件になりますが、これだけは2位以下が公表されていません。
熊谷は日本一暑くないのですか
2026年9月時点の気象庁の歴代全国ランキングでは6位タイです。1位は群馬県伊勢崎市の41.8℃。なお埼玉県内の最高記録は鳩山町の41.4℃で、こちらは全国2位タイです。
ねぎやほうれんそうは1位ではないのですか
収穫量では2位です。ねぎは茨城県、ほうれんそうは群馬県が1位でした。ただし1位との差は数千トンで、年によって入れ替わる可能性があります。
出典
市の数はe-Stat「市区町村数を調べる」(2026年9月20日現在)、流出人口比率・昼夜間人口比率・ごみ埋立率は総務省統計局「統計でみる都道府県のすがた2026」、さといも・パンジー・ほうれんそう・ねぎ・かぶ・ブロッコリー・こまつな・茶は農林水産省の令和6年産野菜生産出荷統計/花き生産出荷統計/作物統計(いずれも確報)、医薬品の生産金額は厚生労働省「薬事工業生産動態統計年報」令和6年、最高気温は気象庁「歴代全国ランキング」によります。ひな人形の出荷額と工業統計の16品目、製造品出荷額は埼玉県の公表資料によります。いずれも2026年9月20日に確認しました。
順位は調査年によって入れ替わります。とくに農産物は年ごとの作柄に左右されるため、最新の統計をご確認ください。

