2026年5月、埼玉県が令和7年国勢調査の速報値を公表しました。そこには、これまでになかった数字が並んでいます。
埼玉県の人口は7,287,169人。前回調査(2020年)から57,596人の減少で、大正9年に調査が始まって以来、初めて前回を下回りました。105年で初めての出来事です。
県全体では減っていますが、増えた街もあります。この記事では、増えた10市町と減った53市町村を、公表データからランキング形式で整理します。
埼玉県全体:105年で初めての人口減少
| 2025年10月1日 | 2020年10月1日 | 増減 | |
|---|---|---|---|
| 総人口 | 7,287,169人 | 7,344,765人 | -57,596人(-0.8%) |
| 世帯数 | 3,285,878世帯 | 3,162,743世帯 | +123,135世帯(+3.9%) |
| 1世帯あたり人員 | 2.22人 | 2.32人 | -0.10人 |
ここで見逃せないのが、人口は減ったのに世帯数は12万世帯以上増えていることです。1世帯あたりの人数は2.32人から2.22人に縮みました。人が減りながら世帯が増えるのは、単身世帯や2人世帯への分化が進んでいるということ。空き家ではなく、むしろ住宅需要は続いている状態です。
市部(40市)は6,821,503人、郡部(23町村)は465,666人。県人口の93.6%が市部に集中しています。
人口が増えた10市町ランキング
63市町村のうち、人口が増えたのはわずか10市町でした。
| 順位 | 市町 | 人口 | 増減数 | 増減率 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 朝霞市 | 147,109人 | +6,026人 | +4.27% |
| 2 | 蕨市 | 75,510人 | +1,227人 | +1.65% |
| 3 | さいたま市 | 1,345,016人 | +20,991人 | +1.59% |
| 4 | 草加市 | 251,122人 | +2,818人 | +1.13% |
| 5 | 滑川町 | 19,908人 | +176人 | +0.89% |
| 6 | 富士見市 | 112,824人 | +965人 | +0.86% |
| 7 | 鶴ヶ島市 | 70,693人 | +576人 | +0.82% |
| 8 | 川越市 | 354,793人 | +222人 | +0.06% |
| 9 | 所沢市 | 342,575人 | +111人 | +0.03% |
| 10 | 八潮市 | 93,386人 | +23人 | +0.02% |
増えた10市町のうち9つが県南
並べてみると傾向は明らかです。滑川町を除く9市が、いずれも東京寄りの県南・県西部。朝霞市、蕨市、さいたま市、草加市、富士見市、鶴ヶ島市、川越市、所沢市、八潮市——都心への通勤圏です。
唯一の例外が滑川町(比企郡)。東武東上線の森林公園駅を抱える町で、+0.89%と県内5位の伸びを見せました。
増加率トップは朝霞市の4.27%
突出しているのが朝霞市の+4.27%。2位の蕨市(+1.65%)に2.6倍の差をつけています。人数でも+6,026人と、さいたま市に次ぐ2位。県内で最も勢いのある街といえます。

川越・所沢・八潮は「かろうじてプラス」
一方で、川越市(+0.06%)、所沢市(+0.03%)、八潮市(+0.02%)は、増えたとはいえほぼ横ばいです。八潮市に至っては5年で+23人。次回調査では減少に転じてもおかしくない水準です。
人口減少率ワースト10
| 順位 | 市町村 | 人口 | 増減数 | 増減率 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 東秩父村 | 2,293人 | -416人 | -15.36% |
| 2 | 小鹿野町 | 9,431人 | -1,497人 | -13.70% |
| 3 | 長瀞町 | 6,101人 | -706人 | -10.37% |
| 4 | 横瀬町 | 7,227人 | -752人 | -9.42% |
| 5 | 皆野町 | 8,430人 | -872人 | -9.37% |
| 6 | 秩父市 | 54,646人 | -5,028人 | -8.43% |
| 7 | 小川町 | 26,273人 | -2,251人 | -7.89% |
| 8 | 川島町 | 17,882人 | -1,496人 | -7.72% |
| 9 | 吉見町 | 16,840人 | -1,352人 | -7.43% |
| 10 | 越生町 | 10,231人 | -798人 | -7.24% |
ワースト6を秩父地域が独占
この表でいちばん重いのは、減少率の上位6つがすべて秩父地域だという事実です。東秩父村、小鹿野町、長瀞町、横瀬町、皆野町、そして秩父市。秩父郡市がそのまま並びます。
最も減少率が高かった東秩父村は-15.36%。人口は2,293人となり、県内で最も人口の少ない自治体でもあります。5年で6人に1人近くが減った計算です。
7位以下は小川町、川島町、吉見町、越生町と、県中央部から西部の町が続きます。
人口減少数ワースト10
率ではなく「人数」で見ると、顔ぶれが大きく変わります。
| 順位 | 市 | 増減数 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 1 | 春日部市 | -6,975人 | -3.04% |
| 2 | 熊谷市 | -6,153人 | -3.16% |
| 3 | 狭山市 | -5,948人 | -4.00% |
| 4 | 入間市 | -5,471人 | -3.76% |
| 5 | 秩父市 | -5,028人 | -8.43% |
| 6 | 久喜市 | -3,423人 | -2.27% |
| 7 | 深谷市 | -2,775人 | -1.96% |
| 8 | 飯能市 | -2,692人 | -3.35% |
| 9 | 行田市 | -2,438人 | -3.10% |
| 10 | 幸手市 | -2,432人 | -4.86% |
最も多く減ったのは春日部市の-6,975人。次いで熊谷市-6,153人、狭山市-5,948人と続きます。いずれも県東部・北部・西部の中核的な市です。
率のランキングには秩父の町村が並びましたが、人数で見ると減っている実数の大半は中規模の市から出ています。小さな町村の減少率が目立つ一方、県全体の人口を押し下げているのはこうした市だということが分かります。
なお川口市も-2,267人(-0.38%)と11位圏内に入っており、県内2位の人口を持つ市も減少に転じています。
この数字をどう読むか
今回のデータから読み取れることを3つにまとめます。
- 東京に近いほど増え、遠いほど減る——増えた10市町のうち9つが県南・県西の通勤圏。減少率上位は秩父地域に集中しました
- 人は減っても世帯は増える——世帯数は+3.9%。1世帯あたりは2.32人から2.22人へ。住まいの数え方が変わりつつあります
- 「増えた」市にも余裕はない——川越・所沢・八潮の伸びは1%未満。次の5年で反転する可能性があります
よくある質問
埼玉県の人口はいつから減り始めたのですか?
国勢調査ベースでは今回(2025年)が初めてです。大正9年(1920年)の調査開始以来、前回を下回ったことはありませんでした。
人口が増えた市町村はどこですか?
朝霞市、蕨市、さいたま市、草加市、滑川町、富士見市、鶴ヶ島市、川越市、所沢市、八潮市の10市町です。
最も人口が減った自治体は?
減少率では東秩父村(-15.36%)、減少数では春日部市(-6,975人)です。
埼玉県で最も人口が少ない自治体は?
東秩父村の2,293人です。次いで長瀞町6,101人、横瀬町7,227人と続きます。
この数字は確定ですか?
速報値です。埼玉県が市町村提出の集計表をもとに集計したもので、総務省統計局が公表する速報値と一致しない場合があります。確報値は2026年9月に公表予定です。
まとめ
- 埼玉県の人口は7,287,169人。調査開始から105年で初めて減少(-57,596人)
- 増えたのは10市町のみ。うち9つが東京寄りの県南・県西
- 増加率トップは朝霞市+4.27%、2位蕨市、3位さいたま市
- 減少率ワースト6はすべて秩父地域。トップは東秩父村-15.36%
- 減少「数」のトップは春日部市-6,975人。実数を押し下げているのは中規模の市
- 人口は減ったが世帯数は+12万。1世帯あたりは2.32人→2.22人へ
出典:埼玉県「令和7年国勢調査速報結果による人口及び世帯数」(2026年5月20日公表)および同令和7年国勢調査 統計表。基準日は2025年10月1日、比較は2020年10月1日の確報値。速報値のため確報値で変更となる場合があります。


