川口市・戸田市・蕨市は隣どうしの3市で、どこも「都心に近い」と紹介されます。ただし公表されている数字を並べると、土地の値段・電車の使い勝手・毎月の水道料金にはっきりした差が出ます。3市の公式サイトと埼玉県の統計だけを使って比較しました。
3市の違いは地価・電車・水道料金に出る
| 項目 | 川口市 | 戸田市 | 蕨市 |
|---|---|---|---|
| 住宅地の平均地価 | 264,900円/㎡ | 312,300円/㎡ | 325,200円/㎡ |
| 人口密度(県内順位) | 9,598.9人(2位) | 7,814.3人(6位) | 14,680.2人(1位) |
| 市内の鉄道 | 3路線9駅 | 埼京線3駅 | 京浜東北線1駅 |
| 水道料金(月20㎥) | 4,543円 | 2,728円 | 2,684円 |
| 国保税の均等割(合計) | 78,500円 | 55,560円 | 71,800円 |
水道料金と国保税の均等割は、川口市と戸田市で年間4万円以上の差になります。一方、住民税・軽自動車税・ごみ袋には差がありません。以下、それぞれの根拠です。
地価は蕨と戸田が川口を上回る
令和8年地価公示(2026年1月1日時点)の、住宅地の市町村別平均です。
| 市 | 調査地点数 | 平均価格 | 坪単価の目安 | 変動率 |
|---|---|---|---|---|
| 蕨市 | 6地点 | 325,200円/㎡ | 約107.5万円 | +5.9% |
| 戸田市 | 15地点 | 312,300円/㎡ | 約103.2万円 | +6.1% |
| 川口市 | 89地点 | 264,900円/㎡ | 約87.6万円 | +4.5% |
| さいたま市 | 154地点 | 246,700円/㎡ | 約81.6万円 | +2.7% |
蕨市と戸田市は、さいたま市より住宅地の平均単価が高いという結果です。土地30坪で単純計算すると蕨市約3,225万円、戸田市約3,096万円、川口市約2,628万円。同じ広さで蕨と川口には約600万円の開きがあります。
ただし注意が2つ。調査地点は蕨市わずか6地点、戸田市15地点で、川口市の89地点に比べて平均値が特定の地点に引っ張られやすくなります。また変動率は各地点の変動率を単純平均したもので、平均価格そのものの前年比ではないと県の資料に注記されています。
人口は蕨が密度1位、戸田が県内でいちばん若い
人口密度は蕨市が県内1位
埼玉県「統計からみた埼玉県市町村のすがた2025」(令和6年10月1日現在)による人口密度です。
| 市 | 人口密度 | 県内順位 |
|---|---|---|
| 蕨市 | 14,680.2人/k㎡ | 1位 |
| 川口市 | 9,598.9人/k㎡ | 2位 |
| 戸田市 | 7,814.3人/k㎡ | 6位 |
| 埼玉県全体 | 1,929.9人/k㎡ | - |
蕨市は同資料で「特別区を除く全国の市町村の中で第1位」と説明されています。面積5.11k㎡で、市公式サイトも「全国一のミニ市」と書いています。3市では戸田市が最も密度が低く、蕨市の約53%です。
住民基本台帳人口は川口市610,096人、戸田市143,038人、蕨市77,671人(2026年9月1日現在)。人口増減率は蕨市が人口千対6.03で県内2位、川口市1.28で11位、戸田市1.14で12位。県全体はマイナス0.79なので、3市とも増えている側です。在留外国人は川口市43,706人(人口の7.4%)で県内1位、蕨市8,620人(11.6%)、戸田市8,244人(5.8%)となっています(令和5年12月末現在)。
年齢構成は戸田市が突出して若い
| 市 | 0〜14歳 | 15〜64歳 | 65歳以上 |
|---|---|---|---|
| 戸田市 | 13.2%(2位) | 69.9%(1位) | 16.9%(63位) |
| 川口市 | 11.3%(17位) | 65.8%(6位) | 22.9%(58位) |
| 蕨市 | 10.2%(35位) | 67.0%(4位) | 22.8%(59位) |
| 埼玉県全体 | 11.2% | - | 27.0% |
令和7年1月1日現在。戸田市は65歳以上の割合16.9%が県内63市町村で最も低く、子どもの割合も県内2位です。一方の蕨市は、人口は増えているのに0〜14歳の割合が3市で最も低く、合計特殊出生率も0.78(令和5年)と3市最低です(戸田市1.04、川口市0.95)。
電車は戸田だけ埼京線、川口と蕨は京浜東北線
市内にある鉄道は次のとおりです。
- 川口市:JR京浜東北線(川口・西川口)、JR武蔵野線(東川口)、埼玉高速鉄道(川口元郷・南鳩ヶ谷・鳩ヶ谷・新井宿・戸塚安行・東川口)の3路線
- 戸田市:JR埼京線(戸田公園・戸田・北戸田)の3駅
- 蕨市:JR京浜東北線(蕨)の1駅のみ
選択肢の多さでは川口市が有利です。埼玉高速鉄道は東京メトロ南北線に直通するため、都心へ2ルートを使い分けられます。蕨市は市内が蕨駅だけですが、市の資料は西川口・北戸田・戸田・戸田公園を含む5駅が使えると案内しています。
快速が停まるのは戸田公園だけ
JR東日本の時刻表で確認すると、埼京線の快速が停車するのは戸田公園駅だけで、戸田駅と北戸田駅は通過します。ただし通勤快速は戸田公園駅も通過します。戸田市は通勤快速の停車をJR東日本に要望しており、「中距離を利用される方への速達性の観点等により実施は困難」という回答を受けています。
川口駅と蕨駅に停まるのは京浜東北線の各駅停車のみで、湘南新宿ラインと上野東京ラインはどちらも通過します。川口市は中距離電車の停車に向けた検討段階にあります。川口駅の1日平均乗車人員は71,354人(令和4年度)で、大宮・浦和に次ぐ県内JR3位です。
所要時間は横並びで比べられない
各市の公式サイトには、東京駅まで川口駅から約30分、戸田公園駅から約23分、蕨駅から32分という記載があります。ただしこれらは時間帯・列車・乗り換えの条件がいずれも書かれていない数字で、前提がそろっていません。3市を並べて優劣を判断する材料にはなりません。条件のそろった数字は営業キロで、東京駅起点で川口15.8km・蕨19.7km、新宿駅起点で戸田公園15.8kmです。
国民健康保険税は所得割と均等割で有利不利が逆になる
令和8年度の国民健康保険税率です。3市とも今年度から「子ども・子育て支援金分」が新設されました。
| 区分 | 川口市 | 戸田市 | 蕨市 |
|---|---|---|---|
| 医療分 所得割/均等割 | 7.45%/44,000円 | 8.0%/31,800円 | 6.8%/41,100円 |
| 後期高齢者支援金分 | 2.78%/16,000円 | 1.6%/9,500円 | 2.5%/15,600円 |
| 介護分(40〜64歳) | 2.36%/17,000円 | 1.42%/12,500円 | 2.3%/13,200円 |
| 子ども・子育て支援金分 | 0.27%/1,500円 | 0.27%/1,760円 | 0.3%/1,800円 |
| 所得割の合計 | 12.86% | 11.29% | 11.9% |
| 均等割の合計 | 78,500円 | 55,560円 | 71,800円 |
合計は40〜64歳の加入者1人あたりです。蕨市は18歳以上にさらに100円が加わるため71,800円としました。18歳未満は3市とも子ども・子育て支援金分の均等割がかかりません。
読み方のポイントは、所得割と均等割で順位が逆になることです。戸田市は医療分の所得割8.0%が3市で最も高い一方、均等割55,560円は最も安く、川口市より1人あたり22,940円低くなっています。所得が高い世帯ほど戸田市の負担は重く、家族の人数が多い世帯ほど戸田市が軽くなる構造です。
水道料金は川口市が突出して高い
各市の公表単価から、1か月20㎥を使った場合の水道料金を計算しました。
| 市 | 基本料金 | 月20㎥の水道料金 | 直近の改定 |
|---|---|---|---|
| 川口市 | 2,211円(口径20mm) | 4,543円 | 令和8年4月1日 |
| 戸田市 | 913円(口径20mm) | 2,728円 | 2025年4月1日 |
| 蕨市 | 990円(家事用・10㎥まで) | 2,684円 | 令和8年4月1日 |
いずれも消費税込み、下水道使用料は含みません。川口市は令和8年4月1日に水道料金を平均26.74%引き上げ、それまでの基本水量10㎥も撤廃しました。同じ20㎥を使っても戸田市より月1,815円、年間21,780円高くなります。なお蕨市は口径別ではなく用途別の料金体系で、口径20mmという区分そのものがありません。
差がつかない項目もある
- 個人住民税:3市とも標準税率。均等割は市民税3,000円+県民税1,000円、所得割は市民税6%+県民税4%で、超過課税をしている市はありません
- 軽自動車税(種別割):3市とも同額。四輪乗用(自家用)は新税率10,800円
- ごみ袋:3市とも有料指定袋の制度はなし。戸田市の「推奨ごみ袋」は指定袋ではなく、従来どおりの袋も使えます
一方で粗大ごみには差があり、1点あたり川口市310円〜、戸田市400円(1回10点まで)、蕨市550円です。
よくある質問
3市でいちばん土地が安いのはどこですか
住宅地の平均では川口市です。令和8年地価公示で264,900円/㎡と、蕨市より約60,300円/㎡安くなっています。ただし川口市は面積が広く駅も9駅あるため、市内の地点差が大きい点に注意してください。
毎月の固定費がいちばん安いのはどこですか
水道料金は蕨市がわずかに安く、次が戸田市。国保税の均等割は戸田市が最も安く、川口市より1人あたり年22,940円低くなります。川口市は水道料金・国保均等割ともに3市で最も高い組み合わせです。
子育て世帯にはどこが向いていますか
年齢構成だけを見れば戸田市です。0〜14歳の割合13.2%は県内2位、65歳以上の割合16.9%は県内最低。保育料や医療費助成の比較は別の記事にまとめています。
通勤がいちばん便利なのはどこですか
使える路線の数では川口市(3路線)です。新宿・池袋・渋谷へ乗り換えなしで行けるのは埼京線のある戸田市だけで、快速が停まるのは戸田公園駅に限られます。
出典
地価は埼玉県「令和8年地価公示のあらまし」、人口密度・年齢構成・人口増減率・在留外国人数・合計特殊出生率は埼玉県「統計からみた埼玉県市町村のすがた2025」、住民基本台帳人口は川口市統計月報・戸田市オープンデータ・蕨市町丁別人口統計によります。鉄道の路線と駅は埼玉県「県内鉄道線の営業キロ」と各市公式サイト、快速の停車駅はJR東日本の駅別時刻表で確認しました。国民健康保険税・水道料金・住民税・軽自動車税・ごみは各市および川口市上下水道局の公式サイトによります。いずれも2026年9月19日に確認しました。
坪単価と月20㎥の水道料金は、公表単価から計算した目安です。制度や料金は変更されることがあります。手続きの前に各市の公式サイトと窓口で最新の条件をご確認ください。
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