埼玉高速鉄道線(地下鉄7号線)の浦和美園駅から岩槻までの延伸は、2026年に大きく動きました。3月31日に埼玉県とさいたま市が鉄道事業者に事業の実施を正式に要請し、6月30日には埼玉高速鉄道が「営業構想の認定申請の準備に着手する」と回答しました。さいたま市によると、県と市が示した計画の素案では2041年(令和23年)4月の開業を想定しています。
延伸計画の概要
| 区間 | 浦和美園〜岩槻(約7.2km) |
|---|---|
| 新しい駅 | 埼玉スタジアム駅(仮称・臨時駅)、中間駅(仮称)、岩槻駅(仮称) |
| 構造 | 浦和美園から岩槻の既成市街地の手前までは高架、そこから岩槻駅(仮称)までは地下 |
| 概算事業費 | 1,440億円(2025年4月の価格) |
| 工期の目安 | 速達性向上計画の認定から開業まで約14年 |
| 開業の想定 | 2041年4月(計画の素案) |
| 整備する主体 | 鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構) |
| 運行する主体 | 埼玉高速鉄道 |
具体的なルートと中間駅の位置は、2026年10月の時点でまだ決まっていません。さいたま市は「現在も検討段階」としています。
これまでの経緯
さいたま市によると、地下鉄7号線の計画は1962年(昭和37年)、国の都市交通審議会が「目黒〜赤羽間」の建設を答申したことに始まります。
| 年月 | できごと |
|---|---|
| 1962年6月 | 都市交通審議会が目黒〜赤羽間の建設を答申 |
| 2000年1月 | 運輸政策審議会が「浦和美園〜岩槻〜蓮田は2015年までに開業が適当」と答申 |
| 2001年3月 | 埼玉高速鉄道線が開業(赤羽岩淵〜浦和美園) |
| 2012年3月 | 県と市の検討委員会が報告書。採算性などは厳しいが、将来の延伸の可能性はあると提言 |
| 2016年4月 | 交通政策審議会が、浦和美園〜岩槻〜蓮田の延伸を「意義のあるプロジェクト」と答申 |
| 2018年5月 | 延伸協議会の報告書。5つの検討ケースのうち2つが、国の補助制度(都市鉄道等利便増進法)の適用の目安に届いた |
| 2021年4月 | 県と市が「延伸に向けた方針及び取組」に合意 |
| 2024年1月 | 鉄道・運輸機構と埼玉高速鉄道に技術支援を要請(両者が受諾) |
| 2025年3月 | 市が「延伸連携会議」を設置 |
| 2026年1月13日 | 知事と市長が国土交通大臣に共同要望 |
| 2026年3月31日 | 県と市が鉄道事業者に事業の実施を要請 |
| 2026年6月30日 | 鉄道事業者が回答 |
2000年の答申では「2015年までの開業が適当」とされていましたが、その期限を過ぎても着工には至っていません。2012年の検討委員会の報告書でも、採算性の厳しさが指摘されていました。
2026年の動き
1月13日、大野元裕知事と清水勇人市長が国土交通大臣に共同で要望しました。年度末の事業実施要請を見据えた財務当局との協議、都市計画決定に合わせた国庫補助事業化、予算の安定的な確保を求めました。
3月31日、県と市は都市鉄道等利便増進法にもとづき、鉄道・運輸機構と埼玉高速鉄道に事業の実施を要請し、あわせて計画の素案を示しました。
6月30日、両者が回答しました。埼玉高速鉄道の回答は「速達性向上事業の営業主体として、営業構想の認定申請の準備に着手する」というものです。都市計画決定に向けた環境影響評価や中間駅のまちづくりと並行して、関係者で条件の調査を続け、認定申請するかを判断するとしています。あわせて、3つの新駅それぞれについて県と市に要望を出しました。
- 埼玉スタジアム駅(仮称):埼玉スタジアム2002公園を最大限に活用すること
- 中間駅(仮称):駅周辺のまちづくりを鉄道の延伸と一体で進めること
- 岩槻駅(仮称):駅周辺を活性化し、歴史文化や観光資源を生かして人を呼び込むこと
中間駅周辺のまちづくり(2026年7月〜10月)
中間駅の周辺では、さいたま市が岩槻区浮谷などの約120haで土地区画整理事業を計画しています。市は7月と8月に地元向けの説明会とオープンハウスを開き、8月には民間事業者と組む官民連携プラットフォームの参加者募集を始めました。10月2日・3日には、区画整理の区域について2つの案を示す説明会を開いています。
10月5日からは、この区画整理事業の環境影響評価の最初の手続きとして「計画段階環境配慮書」の縦覧が始まりました。縦覧は11月4日まで、市役所や岩槻区・見沼区・緑区の区役所、公民館、図書館などで見られ、意見書も11月4日まで出せます。
一方、鉄道延伸そのものについては、2026年10月6日時点で、営業構想の認定申請や鉄道の都市計画手続きの新しい発表はありません。国土交通省の2027年度予算の概算要求の資料にも、この延伸の個別の記載はありませんでした。
これからの流れ
さいたま市の説明では、今後は次の順で進みます。
- 鉄道事業者が、延伸の営業構想・整備構想をつくり、国土交通大臣の認定を受ける
- 速達性向上計画をつくり、大臣の認定を受ける
- 事業の実施(工事)
県の資料では、速達性向上計画の認定から開業までを約14年とみています。2041年4月の開業は、計画の素案にもとづく想定です。
だれがいくら負担するのか
さいたま市によると、国の制度を使うと建設費は国が3分の1、自治体が3分の1、鉄道・運輸機構が3分の1を負担する想定です。自治体の3分の1は、さいたま市と埼玉県が65対35で分けます。
市が公表している2025年度の検討結果では、費用に対する便益の比(B/C)は1.2、累積の資金収支が黒字になるのは開業から27年目です。
延伸で何が変わるのか
県の資料では、次のように所要時間が短くなります。
| 区間 | いま | 延伸後 |
|---|---|---|
| 岩槻駅(仮称)〜永田町駅 | 約66分 | 約52分(約14分短縮) |
| 大宮駅〜埼玉スタジアム2002の最寄り駅 | 約31分 | 約22分(約9分短縮) |
県は、南北に走る路線と東西に走る路線の間に新しい南北の軸ができ、県東部と都心の行き来が速くなるほか、災害時の代わりのルートにもなるとしています。
よくある質問
いつ開業しますか。
さいたま市によると、計画の素案では2041年4月の開業を想定しています。今後の手続きの進み方によって変わる可能性があります。
蓮田までは延びますか。
2016年の答申では浦和美園〜岩槻〜蓮田が位置づけられていますが、いま事業化を進めているのは、先に整備する浦和美園〜岩槻の区間です。
中間駅はどこにできますか。
浦和美園駅と岩槻駅の間にできる予定ですが、位置はまだ決まっていません。
この記事の確認日
2026年10月6日に、埼玉県「埼玉高速鉄道線(地下鉄7号線)の延伸について」、県の共同要望の発表、さいたま市の「地下鉄7号線延伸促進の経緯」「よくあるお問い合わせ」、埼玉高速鉄道のお知らせ(2026年6月30日)、さいたま市「(仮称)地下鉄7号線中間駅周辺地区土地区画整理事業 環境影響評価の実施について」(2026年10月5日更新)で確認しました。この記事は2025年2月に公開した記事を、最新の情報で書き直したものです。


