この記事のポイント:春日部は、布と綿で人物を立体的に仕立てる「押絵羽子板」の産地です。初正月用は飾り台付きなら2万円台から、ケース入りは4万円台半ば〜8万円台が中心で、店頭に並ぶのは11月中旬ごろから。2026年は駅前の「押絵羽子板と特産品まつり」が11月21日(土)・22日(日)に開かれる予定です(号外NET 10/25の記事による)。
女の子が初めて迎えるお正月に、羽子板を贈る習わしがあります。羽根で邪気をはね(羽根)のけ、健やかに育つようにという願いを込めた縁起物です。埼玉には羽子板をつくる町がいくつかあり、なかでも春日部は、羽子板の材料になる桐の産地として知られています。
この記事では、春日部の押絵羽子板がどんなものか、値段の目安、どこで買えるか、いつ飾っていつしまうかを、2026年10月26日時点の情報でまとめました。

春日部の押絵羽子板とは?なぜ春日部でつくられている?
押絵羽子板は、歌舞伎役者や着物姿の女性などを、厚紙に布を貼り、綿を詰めてふっくらと立体に仕上げ、羽子板の板に取り付けたものです。埼玉県の地場産業の紹介ページによると、押絵細工を施した羽子板が登場したのは江戸時代の文化文政期とされています。
春日部で本格的に押絵羽子板がつくられるようになったのは、太平洋戦争のあとです。同じページによれば、江戸時代から浅草寺の周辺に住んでいた羽子板職人が戦火を逃れ、羽子板の材料になる桐の木が豊富な春日部へ移り住んだのが始まりです。春日部は桐たんすや桐箱の産地でもあり、板をつくる材料と職人が同じ町にそろったことになります。
仕事は分業で、頭や衣装を仕上げる「押絵師」と、顔の表情や髪を結い上げる「面相師」が受け持ちます。県の伝統的手工芸品の要綱では「春日部押絵」として、春日部羽子板組合が産地の組合に挙げられています。顔の描き方や着物の柄の合わせ方に工房ごとの個性が出るので、売り場では同じ大きさの羽子板を何枚か並べて、表情を見比べてみるのがおすすめです。
値段はいくら?大きさ別の目安
羽子板の大きさは「8号」「10号」「13号」のように号で表します。号が大きいほど板も人物も大きくなり、値段も上がります。春日部の工房「匠一好(たくみいっこう)」の羽子板は、取扱店のオンラインショップで次のような価格でした(税込。本体+飾り台の価格で、ケース付きにすると約2万円高くなります。2026年10月26日時点ではすべて「完売」表示なので、昨シーズンの価格として参考にし、今季の価格は11月中旬以降に売り場で確かめてください)。
| 8号 | 21,500円〜25,800円(刺繍の柄など) |
|---|---|
| 10号 | 28,000円〜37,000円 |
| 13号 | 33,000円〜48,000円(壁掛けタイプを含む) |
| 20号 | 115,000円〜135,000円 |
岩槻の人形店「東玉」のオンラインショップでは、掲載されている羽子板は42,900円〜80,300円(税込)で、10月26日時点で購入できるものは4万円台半ば〜5万円台でした。ケースの横幅は15cm前後からあり、マンションの玄関やテレビ台の横にも置ける大きさが主流になっています。
予算の目安としては、飾り台で飾るなら3万円前後から、ケース入りにすると4万円台半ばからと考えると選びやすいでしょう。刺繍や金彩、帯地など、使う生地と手間で値段が大きく変わります。
どこで買える?埼玉の羽子板の産地と売り場
春日部だけでなく、岩槻・鴻巣・所沢でも羽子板や正月飾りがつくられ、売られています。埼玉県の地場産業のページをもとに、産地ごとの特徴と売り出しの時期を並べました(春日部の問い合わせ先は春日部市観光協会のページによる)。
| 産地 | 特徴 | 店頭に並ぶ時期 | 問い合わせ先 |
|---|---|---|---|
| 春日部市 | 戦後に浅草の職人が移り住んで始まった押絵羽子板。桐の産地 | 11月下旬の「押絵羽子板と特産品まつり」が目安 | 春日部市特産品協議会(春日部商工会議所内)048-763-1122 |
| さいたま市岩槻区 | 人形のまち。人形店が12月に羽子板・破魔弓を売り出す | 12月(県のページの行事表) | 岩槻人形協同組合 048-757-8881 |
| 鴻巣市 | ひな人形の産地。正月飾りも扱う | 11月〜12月 | 鴻巣ひな人形協会 048-541-3517 |
| 所沢市 | 雛職人が押絵の技術を学んで羽子板をつくってきた。着物地を使った羽子板も | 公式に記載なし | 所沢人形協会 |
春日部で職人の羽子板をじっくり見たいなら、工房の展示場という選択肢もあります。匠一好の公式サイトでは、春日部市粕壁東1-23-22の所在地と、「いつでもご覧いただける展示場」がある旨が案内されています。営業時間は10時〜17時で、土日祝は休み。見学したいときは事前に電話(048-752-6732)で確認してから向かいましょう。
11月21日・22日は「押絵羽子板と特産品まつり」
春日部では毎年、駅の東口で羽子板の展示・即売会が開かれてきました。2026年は第29回として、11月21日(土)10時〜19時、22日(日)10時〜17時に、春日部駅東口から歩いて約5分の「ぷらっと広場」(埼玉県春日部市粕壁東1-10)で開かれると、号外NET(2026年10月25日)が伝えています。押絵羽子板や小物の販売のほか、桐箱・桐まな板の直販もあるそうです。会場に駐車場はないので電車で行きましょう。主催者の公式ページでの2026年の告知は、10月26日時点で確認できていません。出かける前に、日程は春日部商工会議所(048-763-1122)でも確かめてください。
いつ買って、いつ飾る?初正月のスケジュール
手づくりの羽子板は量産品ではないので、気に入った柄は早めに売れていきます。東玉のコラムでは、店頭に並び始めるのが11月中旬ごろ、品ぞろえが多いのは11月中としています。
- 11月中旬〜店頭に並び始める
選べる柄が多いのは11月中。春日部のまつりは11/21・22予定
- 12月13日正月事始め=飾り始めの目安
12月中旬から飾るのが昔ながらの習わし
- 12月29日・31日この日に飾るのは避ける
29日は「苦」に通じ、31日は「一夜飾り」とされる
- 1月15日小正月ごろに片付ける
湿気の少ない日を選んでしまうのがおすすめ
初正月が2027年1月なら、11月中に選んで12月上旬までに手元に届くようにすると、正月事始めの12月13日(日)から余裕をもって飾れます。2026年12月29日は火曜、31日は木曜です。年末の帰省に合わせて飾る場合も、この2日を避けて28日までに出しておくと安心です。
よくある質問
Q. 羽子板は誰が買うもの?
昔は母方の実家が用意することが多く、今もその例が一般的と東玉のコラムは紹介しています。最近は両家で相談して折半したり、父方の祖父母やおじ・おばが贈ったりする家庭も増えています。決まりはないので、ひな人形とあわせて誰が何を用意するか、早めに話しておくと重なりを防げます。
Q. 何歳まで飾る?
特に決まりはありません。お守りとして毎年お正月に飾る家庭が多く、姉妹がいる場合は一人ひとりに用意する考え方もあります。
Q. 古くなった羽子板はどうする?
小正月のどんど焼きで納める方法や、人形供養に出す方法があります。どんど焼きはガラスケースや金属の飾りを外して出すよう求める神社が多いので、事前に確認しましょう。県内では11月14日(土)に鴻巣・勝願寺のお十夜で人形供養が行われます(鴻巣・勝願寺のお十夜|11/14人形供養3000円〜)。
まとめ:選ぶなら11月、春日部で顔を見比べて
春日部の押絵羽子板は、浅草から移り住んだ職人が、桐の産地に集まって根づかせた工芸品です。飾り台付きなら2万円台から選べますが、同じ号でも顔立ちや生地でずいぶん印象が変わります。11月中に売り場や工房の展示場で実物を何枚か見比べて、「この子に似合う」と思える一枚を探してみてください。人形のまちの成り立ちが気になる人は「岩槻はなぜ「人形のまち」?」もあわせてどうぞ。
出典・確認日
- 埼玉県「民芸品」(地場産業)(2025年11月27日掲載)
- 埼玉県伝統的手工芸品産業振興対策要綱(PDF)
- 匠一好 公式サイト/人形の鯉徳 オンラインショップ「匠一好」
- 人形の東玉「羽子板」/東玉のコラム「羽子板はいつ誰が買うのが良い?」
- 号外NET 春日部市「第29回 春日部 押絵羽子板と特産品まつり」(2026年10月25日)
- 春日部市観光協会「かすかべ押絵羽子板と特産品まつり」(主催・問い合わせ先のみ参照。掲載の日程は過去回のもの)
確認日:2026年10月26日。価格・日程は変わることがあります。購入前に各店へ確認してください。


