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熊谷はなぜラグビーのまち?|国体から始まった歴史

熊谷はなぜラグビーのまち?のアイキャッチ。スタジアムのH型ゴールポストとラグビーボール、12月12日の熊谷でのホーム開幕戦の文字 歴史・文化・雑学

この記事のポイント:熊谷がラグビーのまちになったきっかけは、1967年(昭和42年)の埼玉国体で、ラグビー会場が熊谷の荒川河川敷に置かれたことです。そこから県北の高校ラグビーが力をつけ、1991年には熊谷工業高校の全国初優勝と、県営の熊谷ラグビー場の完成が2か月違いで重なりました。市は「ラグビータウン」を掲げ、春の全国高校選抜大会、2019年のワールドカップ3試合、2021年の埼玉パナソニックワイルドナイツの本拠地移転へとつながります。2026-27シーズンのホーム開幕戦は12月12日(土)14:30、熊谷ラグビー場です。

熊谷がラグビーのまちになるまでの年表。1967年埼玉国体、1969年熊谷工初出場、1991年1月熊谷工初優勝、1991年3月熊谷ラグビー場完成、2000年全国高校選抜大会開始、2019年W杯3試合、2021年8月ワイルドナイツ移転、2026年12月12日ホーム開幕戦
学校、スタジアム、大会、世界大会、プロのチームと、60年近くかけて積み重なった

熊谷駅の正面口を出ると、大きなラグビーボールに乗った少年の像が迎えてくれます。スタジアムへ向かう県道には「ラグビーロード」の呼び名があり、試合の日には駅前のバス乗り場にファンの列ができます。県北の地方都市が、なぜ「ラグビーのまち」と呼ばれるようになったのか。その答えは、ひとつのスタジアムやひとつのチームではなく、60年近くかけて積み上がった出来事の連なりにあります。

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きっかけは1967年の埼玉国体だった

産経新聞の連載「ラグビー史伝 迫るW杯 彩の国」(2019年、ぶぎん地域経済研究所の松本博之氏が執筆)によると、熊谷とラグビーの縁が太くなった最初の出来事は、昭和42年(1967年)の第22回国民体育大会、いわゆる埼玉国体です。ラグビー競技の会場として、熊谷市内の荒川河川敷に芝のグラウンドがつくられました。この「荒川ラグビー場」がその後、県の主な大会の会場になり、国体の翌年には県内の高校ラグビー部が9校から13校に増えたといいます。

読売新聞の記事(2019年8月)は、国体に向けて県が大学でラグビーを経験した人を教員として採用し、高校の体育の授業にラグビーが取り入れられたことも、熊谷にラグビーが根付いた理由に挙げています。グラウンドができ、教える人が来て、生徒がボールに触れる。熊谷のラグビーは、まず「学校のスポーツ」として広がりました。

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なぜ県北の高校が強くなった?

もともと県内の高校ラグビーは、熊谷商工(のちに熊谷商と熊谷工に分かれる)などの県北の学校が引っぱってきました。熊谷商工は昭和33年度(1958年度)に県勢として初めて全国大会に出場しています。花園ラグビー場で全国大会が開かれるようになってからも県北勢の出場が続き、産経の連載は、かつては花園の出場校を県北の高校がほぼ独占していたと振り返っています。

熊谷工は昭和44年度(1969年度)に初めて全国大会に出場し、そこから常連校になっていきます。強いチームがあり、試合のできるグラウンドがあり、指導者が育つ。この循環が熊谷の周りで回り続けたことが、のちのラグビータウンの土台になりました。

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1991年、日本一とスタジアム完成が重なった

大きな転機は平成2年度(1990年度)です。第70回全国高校ラグビー大会で熊谷工が初優勝し、県勢として初めて花園の頂点に立ちました。年明けの決勝の相手は、連覇を狙った天理(奈良)でした。

その2か月後の1991年3月、熊谷スポーツ文化公園の中心施設として、県営の熊谷ラグビー場が完成します。産経の連載によると、県のラグビー関係者が建設を陳情したのは昭和54年(1979年)。10年あまりをかけて実った悲願でした。熊谷市はこのスタジアムを、県内唯一、全国でも数少ないラグビー専用スタジアムと紹介しています。

専用スタジアムの何がすごい?
陸上競技場と兼用のスタジアムは、観客席とグラウンドの間にトラックがあります。熊谷ラグビー場はラグビー専用なので、メインスタンド最前列からタッチラインまで9m、バックスタンドからは8mしかありません(熊谷市)。ラインアウトで選手が持ち上げられる高さや、スクラムでぶつかる音を間近で感じられるのが、ほかの会場にない魅力です。

「ラグビータウン構想」と「東の熊谷」

スタジアムの完成を受けて、熊谷市は総合振興計画でラグビータウン構想を掲げます(読売新聞)。その目玉になったのが、2000年に第1回が開かれた全国高校選抜ラグビーフットボール大会です(読売新聞は「2000年度に始まった」としています)。毎年春に熊谷ラグビー場を主会場に開かれ、2026年3月の大会で第27回を数えました。

年末年始の全国大会が大阪の花園なら、春の選抜は熊谷。高校ラグビー部員にとって、熊谷は「目指す場所」のひとつになりました。読売新聞は2019年、「西の花園」に対して「東の熊谷」という言い方も定着しつつあると伝えています。もちろん公式の称号ではなく、ファンや関係者のあいだの呼び方です。

駅前の「ラグビーボールと少年」の像も、この流れのなかで生まれました。読売新聞によると、1996年に県ラグビー協会が市に寄贈したもので、少年の背番号は「9」。スクラムハーフの番号です。寄贈された当時に現役のスクラムハーフだった熊谷工出身の日本代表、堀越正己さんにちなんで「マサミ君」とも呼ばれてきたそうです。ただ、本人に聞くと「勘違いだとしても」と笑っていたといい、正式なモデルというわけではなさそうです。

ワールドカップとワイルドナイツで何が変わった?

2016年、熊谷ラグビー場はラグビーワールドカップ2019日本大会に向けた大改修に着工しました。収容は完成当時と同じ約2万4,000人で、W杯では仮設席も増やされました(読売新聞)。大会では熊谷で3試合が行われ、読売新聞によると、市は3試合で計1万5,000枚のチケットを買い、市内の小中学生がまとまって観戦できるようにしました。

ワールドカップが「一度きりの祭り」で終わらなかったのは、その後に常設のチームが来たからです。2019年3月、埼玉県・熊谷市・パナソニックが、ワイルドナイツの熊谷ラグビー場への本拠地移転に向けた協定を結びました。熊谷市によると、ワイルドナイツは1960年に群馬県大泉町の東京三洋電機のラグビー部として生まれ、長く群馬県太田市を拠点にしてきたチームです。

2021年8月、チームは太田市から熊谷市へ本拠地を移し、熊谷スポーツ文化公園の中に練習拠点「さくらオーバルフォート」ができました。パナソニック ホームズの発表によると、グラウンドに加えてクラブハウス、屋内運動場、一般の人も泊まれる宿泊棟を備えた施設で、パナソニック ホームズが県ラグビーフットボール協会から建設を請け負いました。リーグワンが始まった2022年からは、熊谷ラグビー場がホームスタジアムになっています。

熊谷でラグビーを感じられる場所

熊谷ラグビー場(熊谷市上川上810、熊谷スポーツ文化公園内)

  • 見られるもの:リーグワン、大学・高校の公式戦、春の全国高校選抜大会
  • 行き方:熊谷駅北口からバス(下の文章を参照)
  • メモ:ラグビー専用。試合のない日はスタンドに入れない場合がある

さくらオーバルフォート(同公園内)

  • 見られるもの:ワイルドナイツの練習拠点。宿泊棟・レストランを併設
  • メモ:練習の公開日・時間はチームの案内で確認を

熊谷駅正面口の像「ラグビーボールと少年」

  • 1996年に県ラグビー協会が寄贈したモニュメント(背番号9)
  • JR熊谷駅正面口を出てすぐ。待ち合わせや記念撮影に

ラグビーロード(県道熊谷館林線)

  • 国道17号熊谷バイパスの肥塚交差点からスタジアムへ向かう道
  • 車なら肥塚交差点か「熊谷スポーツ文化公園入口」交差点から北へ約700m。大きな試合の日は臨時バスや交通規制あり

バスは熊谷駅北口ロータリーの3番乗り場から国際十王交通に乗ります。「熊谷スポーツ文化公園行き」なら終点、「くまがやドーム行き」なら「ラグビー場入口」で降りて徒歩2分、「葛和田行き」なら「赤城神社前」で降りて徒歩5分です(運賃250円、熊谷市)。熊谷駅からスタジアムまでは約3.5kmあり、歩くと50分ほどかかります。試合の日はバスが混むので、キックオフの1時間半〜2時間前には駅に着いておくと安心です。大規模な試合では臨時バスが出ることもあり、運行は国際十王交通の案内で確認できます。

12月12日の開幕戦の前に知っておきたいこと

2026-27シーズンのリーグワン ディビジョン1は12月に開幕し、埼玉パナソニックワイルドナイツは12月12日(土)14:30から、熊谷ラグビー場で浦安D-Rocksとホーム開幕戦を戦います(リーグワン公式)。12月の県内の試合は12月の埼玉プロスポーツ観戦|県内20試合の日程にまとめています。

初めて行くなら、メインスタンドよりもバックスタンド寄りの低い席から見ると、8mという近さを実感できます。冬の熊谷は乾いた北風が吹く日が多く、日差しがあっても屋外のスタンドは冷えます。ひざ掛けと手袋があると安心です。

よくある誤解

「ワイルドナイツは昔から熊谷のチーム」?

熊谷に来たのは2021年です。それまでは60年以上、群馬県の大泉町・太田市を拠点にしていました。熊谷市のページで、チームの歩みを年表で確認できます。

「全国高校ラグビー大会は熊谷で開かれる」?

年末年始の全国大会(いわゆる花園)は、大阪府東大阪市の花園ラグビー場が会場です。熊谷で開かれるのは、春の全国高校選抜大会です。

「熊谷ラグビー場は市営」?

熊谷ラグビー場は、埼玉県の都市公園である熊谷スポーツ文化公園の施設です。問い合わせ先は公園の管理事務所(048-526-2004)になります。

熊谷の歴史をほかの角度からたどるなら、源平の武将の物語を描いた熊谷直実とは?や、熊谷出身の荻野吟子の記事もどうぞ。

出典

確認日:2026年10月28日。試合日程・バスの運行は変わることがあります。お出かけ前に各公式サイトで確認してください。

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