まずはここだけ:熊谷市は10月26日、妻沼の能美防災妻沼東事業所の周辺で行った6回目の井戸水調査の結果を公表しました。新たに調べた19か所のうち3か所で、国の指針値(PFOSとPFOAの合計で1リットルあたり50ナノグラム)を超えました。飲み水に使っている井戸はありませんでした。市は水道水への影響はないとしています(妻沼の給水区は、汚染とは別の地層にある深さ250mの井戸からくんでいます)。事業所から地下水の下流側にあたる半径約2,700mで井戸水を使っている家庭には、市が飲むのを控えるよう求めていて、10月26日に更新した市のページではこの範囲を「拡大しました」としています。

今回の調査で何が分かった?
調査は9月24日から10月1日にかけて行われました。前回までに指針値を超えた井戸を起点に、地下水の下流側500mの範囲(事業所から南東の方向を中心に左右60度)にある、善ケ島・大野・弁財・葛和田の井戸が対象です。超えた3か所は1リットルあたり51、59、79ナノグラムで、残る16か所は3.1〜47ナノグラムでした。
市は、さらに下流側へ範囲を広げ、戸別訪問で井戸の使い方を確かめながら調査を続けるとしています。対象の世帯には別にチラシを配るということです。
これまでに何か所で超えた?
市の調査は4月から6回行われ、合計92か所の井戸を調べて31か所が指針値を超えました。このうち飲み水に使っている井戸は9か所で、2か所が超えています(いずれも1リットルあたり110ナノグラム)。これまでで最も高かった井戸は2,900ナノグラムで、指針値の約58倍です。
| 公表回 | 採水した時期 | その回の結果 | 累計 |
|---|---|---|---|
| 第1回 | 4月23〜24日 | 9か所中1か所が超過 | 9か所中1か所 |
| 第2回 | 4月25日・5月7日 | 11か所中5か所が超過 | 20か所中6か所 |
| 第3回 | 5月20日〜6月10日 | 8か所中7か所が超過 | 28か所中13か所 |
| 第4回 | 6月22日〜7月8日 | 26か所中12か所が超過 | 54か所中25か所 |
| 第5回 | 8月6日〜17日 | 19か所中3か所が超過 | 73か所中28か所 |
| 第6回(今回) | 9月24日〜10月1日 | 19か所中3か所が超過 | 92か所中31か所 |
超えた井戸の割合は第3回の約9割が最も高く、第5回・第6回は約2割でした(割合と累計は編集部の計算)。市は、超えた井戸が事業所から主に北東〜南東へ扇状に分布しているとしています。道閑堀排水路の右岸側(八ツ口方面)では、超えた井戸は見つかっていません。
水道水と井戸水は使っていい?
市は、熊谷市の水道水に影響はないとしています。汚染が見つかったのは深さ18mより浅い地下水で、妻沼の給水区の水道水は、それとは異なる地層にある深さ250mの井戸からくんでいます。市の定期検査でも、PFASの基準を超えたことはないとしています。
井戸水は、事業所から地下水の下流側(主に北東〜南東)の半径約2,700mの範囲で、安全が確かめられるまで飲むのを控えるよう市が求めています。一方で、PFASは皮膚から吸収されにくいため、手洗いや入浴、洗濯に使うことの健康リスクは低いと市は説明しています。
なぜ事業所からPFASが出たの?
能美防災は防災設備のメーカーです。市によると、同社は1974年からPFASを含む泡消火薬剤を使ってきましたが、PFOSを使った薬剤は2006年以降、PFOAを使った薬剤は2016年以降使っていないと報告しています。敷地内の地下水からは2026年2月の自主調査で1リットルあたり43,200ナノグラムが見つかり、市が4月22日に公表して周辺の井戸の調査が始まりました。
事業所の排水も課題として残っています。9月10日に最終放流口で測った値は4,400ナノグラムと、測定を始めてからいちばん高くなりました。同社は9月14日に排水経路を高圧洗浄し、25日には143ナノグラムまで下がりました。それでも市の資料では「十分な効果が得られたとは言い難い」として、同社が別の対策を検討しているとされています。
排水が流れ込む道閑堀排水路の接続地点は、9月10日に1,189ナノグラムで指針値を超えました。その先の福川に合流する手前の地点は、9月10日が26.2、25日が14ナノグラムで、2回とも指針値を下回っています。
畑の水やりや、とれた野菜は?
妻沼は畑の多い地域です。市は、農林水産省の調査をまとめた資料をページに載せています。それによると、指針値を超える川の水でコメを育てても、PFOSやPFOAは玄米にはほとんど移らず、PFASの濃度が高めの畑で育てたキャベツやダイコン、ホウレンソウなども、一般に流通している野菜と同じくらいの濃度でした。ただし、自宅の井戸水を畑に使ってよいかどうかについて、市のページに個別の案内はありません。気になる場合は環境政策課に確かめてください。
健康への影響は?
国の指針値は、体重50kgの人がその水を一生涯、毎日2リットル飲んでも健康に悪い影響が出ないと推定される値です。市は、PFASとコレステロール値の変動などとの関連が報告されている一方で、どのくらいの量が体に入ると影響が出るのかは、まだ確定的な知見がないと説明しています。
問い合わせ:熊谷市 環境部環境政策課(048-536-1548、平日8時30分〜17時15分)。事業者への問い合わせは、能美防災 広報室のメール(mfe-info@nohmi.co.jp)。
出典
- 熊谷市「能美防災株式会社妻沼東事業所(妻沼地内)におけるPFOSおよびPFOA等の検出について」(2026年10月26日更新)
- 熊谷市「能美防災株式会社妻沼東事業所の周辺井戸における水質調査結果について(第6回公表分)」(2026年10月26日)
- 熊谷市「周辺井戸の水質調査結果」(2026年10月26日)
- 熊谷市「PFOS等の農産物への影響について」(農林水産省ホームページから引用、2026年9月17日現在)
- 能美防災「妻沼東事業所敷地内におけるPFOS及びPFOAの検出に伴う対応について(第6報)」(2026年9月17日)
確認日:2026年10月27日。7回目の調査結果が出たら追記します。

