まずはここだけ:この記事で整理した10月以降の発表7件は、警察官などを名乗る電話(5件)、カードのすり替え、SNSの投資話に分かれます(件数は編集部の計算)。埼玉県警は、警察官がSNSで連絡したり、お金を要求したり、キャッシュカードを預かったりすることは「絶対にありません」としています。少しでも迷ったら電話を切り、警察相談専用電話 #9110 か最寄りの警察署へ。これから受け取りの人が来る、置きに行くよう言われているという場面なら、すぐ110番を(編集部の提案)。この記事は新しい発表があれば足していきます。

埼玉の被害はどのくらい増えている?
埼玉新聞が伝えた県警のまとめ(暫定値)によると、2026年1〜6月の特殊詐欺の被害は1085件、83億1357万円でした。金額は前年同期の約7割増です。内訳を見ると、警察官をかたる詐欺が196件で18億8353万円、SNSを通じた投資詐欺が241件で37億4548万円。SNS型投資詐欺は件数が約2.7倍に増え、1件当たりの被害は1554万円(特殊詐欺全体は766万円)。平均71日もだまされ続けていたといいます。特殊詐欺全体の被害件数は6年連続の増加でした。
「高齢者の話」とも言い切れません。同じまとめでは、警察官をかたる詐欺の被害の26.5%が20〜30代でした。県警のページも、若い世代に被害が及んでいると注意を呼びかけています。
どんな事例が発表された?(2026年10月〜11月)
新聞の見出しは金額に目が行きますが、読者が役立てられるのは「何と言われ、どう渡し、何で気づいたか」です。埼玉新聞が伝えた各署の発表を、お金の渡し方ごとに並べ直しました。
| 地域 | 相手の言葉 | お金の渡し方 | 被害 | 気づいたきっかけ |
|---|---|---|---|---|
| さいたま市北区 | 警察官を名乗り「無罪を証明するために在宅捜査に協力してください」「手元にある資産で金を買ってください」 | 金塊を買い、自宅の郵便受けに置く | 金塊8個(売価合計9905万3千円) | 連絡が途絶えたあと、「預かり状」の警察署などの番号に確かめた |
| 熊谷市 | 警察官を名乗り「あなたの口座が犯罪に使われている」「資産を調査する必要がある」 | 金塊を買い、自宅に止めた車の中に置く | 金塊5個(計4941万9100円相当) | 警察が金塊を回収するのはおかしいと思い110番 |
| さいたま市中央区 | 警察官などを名乗り「犯人ではないと証明するためお金を渡してください。調査が終われば返します」 | 現金を紙袋に入れ、ごみ置き場や公衆トイレに置く | 現金2800万円 | お金が戻らず、不審に思って警察署へ |
| 日高市 | 警察官を装い「詐欺グループを捕まえたらあなた名義の通帳が発見となり、あなたから買ったと言っている」「紙幣番号を調べる必要がある」 | 暗号資産の送金、ATMなどからの振り込み、自宅敷地に現金を置く | 計2699万円 | 連絡が取れなくなった |
| 寄居町 | 保険局捜査課や警察官などを名乗り「保険証が使われて睡眠薬が多量に処方されている」 | 自宅からネットバンキングで振り込み | 現金4240万円 | 相手の言動に不信感を持ち警察署へ相談 |
| 吉川市 | 市役所や金融機関の職員を名乗り「あなたのキャッシュカードは磁気が弱くなっているので作り替える必要がある」 | 金融機関職員を装って訪問した男が、受け取ったカードと通帳を封筒に入れ、別の封筒とすり替えて盗んだ疑い | カードと通帳(男を逮捕) | 警戒中の警察官が不審な様子を見て男に声をかけた |
| 所沢市 | SNSで投資の紹介が届く。投資家のアシスタントを装い、入金すれば株式投資に充てられるとうその説明 | 振り込みのあと、所沢駅などで現金を手渡し | 計530万円(編集部の計算) | 現金を引き出したいと伝えると15%の利息を求められた |
並べてみると、郵便受け、車の中、ごみ置き場、ネット送金と、相手と顔を合わせないまま渡す例が多いことが分かります。県警も、ネット上だけで送金が完結する「非面接型」の増加を挙げています(埼玉新聞)。そしてどの事例も、気づいたのはお金や金塊、カードが手を離れたあとでした。さいたま市北区の事例では、自宅に「預かり状」が届いていたのに、事実を確かめたのは連絡が途絶えてからでした。届いた書類に頼らず、渡す前に別の窓口へ確かめることが大切だと分かります。さいたま市中央区の事例では、最後に「これまでのやりとりを削除して」とも言われていました。手がかりを消させるような言葉が出たら、いったん手を止めて誰かに相談してください。
被害の途中で踏みとどまった例もあります。3億6222万円の被害が出た所沢のSNS投資詐欺と同じ市で、今回の所沢市の男性はだまされたことに気付いて警察に届け、だまされたふりを続けました。11月1日、所沢駅に現れた男が警察官に取り押さえられ、詐欺未遂の疑いで現行犯逮捕されました(容疑を否認しているとのことです)。埼玉新聞によると、SNS型の投資詐欺では偽の投資アプリで利益が出ているように見せるため、長く気づきにくいといいます。
どの言葉が出たら電話を切る?
警察を名乗られると切りにくいものですが、確かめる方法があります。鴻巣署のページは、部署と氏名を聞いて一度切り、自分で番号を調べてかけ直すことを勧めています。画面に実在の警察署の番号が出ても安心はできません。県警は番号を偽装して表示させる場合があるとしているためです。
県内の警察署には、今も同じ形の電話の情報が届いています。鴻巣署は10月27日分として、鴻巣市と北本市で、サイバー捜査課を名乗るなどして銀行口座が犯罪に使われていると告げる電話があったと公表しました。
今からできる備えは?
家族で話すなら「警察を名乗る電話が来たら、まず家族に電話する」と決めておくと手軽です(編集部の提案)。電話とスマートフォンの備えとしては、県警などが次を勧めています。
- 固定電話を留守番電話にし、知らない番号にはすぐ出ない
- 固定電話の国際電話を止める(国際電話不取扱受付センター 0120-210-364)
- スマートフォンに警察庁が推奨する詐欺対策アプリを入れる。埼玉新聞によると、県警は「詐欺対策byNTTタウンページ」「詐欺バスター Lite」の利用を呼びかけるキャンペーンを行いました
すでにお金を渡してしまったかもしれないときは、恥ずかしいと思わず、すぐ最寄りの警察署か #9110(ダイヤル回線と一部のIP電話は 048-822-9110)へ。相手とのやりとりや送金の記録は、相談のときの手がかりになるので消さずに残しておくことをおすすめします(編集部の提案)。
事例は発表と報道の範囲で載せています。被害に遭った方を特定できる情報と、逮捕された人の名前は書いていません。逮捕された人の容疑は発表時点のものです。
更新の記録と出典
2026年11月3日:公開(確認日:2026年11月3日)
- 埼玉県警察「ニセ警察詐欺に注意!!若い世代の被害も増加!!」(2026年9月7日更新)
- 鴻巣警察署「特殊詐欺予兆電話情報(10月27日分)」
- 埼玉県「特殊詐欺対策」
- 埼玉新聞 8月21日(上半期の被害)
- 埼玉新聞 10月29日(さいたま市北区)
- 埼玉新聞 10月22日(熊谷市)
- 埼玉新聞 10月20日(さいたま市中央区)
- 埼玉新聞 10月18日(日高市)
- 埼玉新聞 10月6日(寄居町)
- 埼玉新聞 11月2日(吉川市)
- 埼玉新聞 11月2日(所沢市)

