まずはここだけ:埼玉県警西入間署は11月3日、SNSで誘われて「送金バイト」をしたとして、毛呂山町の無職の男(68)を犯罪収益移転防止法違反(送金犯罪)の疑いで2日に逮捕したと発表しました。読売新聞と朝日新聞が伝えています。正当な理由なく、報酬をもらう約束で他人のお金を送る行為には、今年7月10日から罰則があります。読売新聞は逮捕として全国初、朝日新聞は県内初と伝えています。「入金されたお金を送るだけ」という誘いには応じず、迷ったら警察の相談窓口 #9110 へ。

何があった?
読売新聞と朝日新聞が伝えた西入間署の発表によると、男は10月28〜31日、報酬を得る約束をして、氏名不詳の相手から自分の口座に振り込まれたお金を、指定された12口座に17回に分けて送金した疑いがあります。金額は朝日新聞によると計18万9650円です。容疑を認めているということです。
きっかけは副業探しでした。朝日新聞によると、男はSNS上でアルバイトとして紹介され、「報酬を受けて少し余裕のある生活がしたかった」と話しています。読売新聞によると、秘匿性の高い通信アプリで「仕事内容:入金+送金」「給与1日5000円+手数料」と持ちかけられましたが、報酬は受け取っていませんでした。発覚したのは、金融機関から「ATMで不審な取引をしようとする男性がいる」と通報があったためです(読売新聞)。
「全国初」はどういう意味?
報道の表現には違いがあります。読売新聞は同署の話として、7月の施行後に送金犯罪の疑いで逮捕したのは全国で初めてと伝え、朝日新聞は県警の話として、県内で初めてと伝えています。一方、琉球新報は7月21日に、沖縄・豊見城署が40代の女性を同じ疑いで書類送検し、全国初の摘発だと報じました。並べて読むと、摘発は沖縄が先で、「逮捕」としては今回が初めてという意味だと考えられます(編集部の整理)。
何をすると犯罪になる?
朝日新聞によると、送金犯罪の罰則は、犯罪で得たお金だと分かりにくくする資金洗浄(マネーロンダリング)への対策の一環として、法改正で設けられました。警察庁の資料を読者向けに整理すると、次のとおりです。
| 送る側 | 正当な理由がないのに、お金などを移す目的の依頼だと知ったうえで、対価を得る形で送金すること |
|---|---|
| 頼む側・募集する側 | 正当な理由がないのに、対価を払って送金を頼むこと。広告などで誘うことも対象 |
| 対価の範囲 | 受け取った場合だけでなく、約束した場合も含む。現金のほか、暗号資産やポイントなども例に挙がる |
| 罰則 | 2年以下の拘禁刑か300万円以下の罰金、または両方。繰り返し続けた場合は3年以下の拘禁刑か500万円以下の罰金、または両方 |
今回の男は報酬を受け取っていないと報じられていますが、資料では約束も対価に含まれます。一方で、日常の送金まで禁じるものではありません。同じ資料は、対象にならない例として、食事会の会費を代表者が集めて店に払う、家族に生活費の送金を任せる、公共料金の支払いを頼む、上司が部下に経費と手間賃を渡して支払いを頼むといった場面を挙げています。通常の商取引や金融取引も対象外です。分かれ目は、理由の分からない他人のお金を、対価のために右から左へ動かしているかどうかだと読み取れます(編集部の整理)。
こんな誘いが来たら?
今回の条件と警察庁の注意喚起から、応じないほうがよい誘いをまとめました。年齢は関係なく、今回逮捕されたのは68歳です。
SNSの誘いから犯罪に関わってしまう点は、闇バイトとも共通します(編集部の見方)。川口市の強盗事件でも、逮捕された男らは闇バイトに申し込んだと話していると報じられています(川口の医薬品卸会社の強盗)。詐欺の手口は埼玉の詐欺の手口まとめにまとめています。
もう引き受けてしまったら?
編集部からの助言は、これ以上は送金しないこと、やり取りの画面や入出金の記録を消さないことです。そのうえで、埼玉県警のけいさつ総合相談センター #9110 に相談できます。24時間受け付けています(夜間・土日祝・年末年始は当直対応)。#9110 が使えない電話からは 048-822-9110 で、通話料がかかります。緊急のときは110番です。自分の場合に罪になるかどうかは個別の判断になるので、弁護士にも相談できます。
まだ分かっていないことは?
振り込まれたお金の出どころ、指示した相手、起訴されるかどうかは、11月3日夕方の確認時点で報じられていません。心当たりのある誘いを受けた人は #9110 に相談できます。新しい情報が分かりしだい、この記事に追記します。
出典
- 読売新聞(Yahoo!ニュース)2026年11月3日
- 朝日新聞(Yahoo!ニュース)2026年11月3日
- 琉球新報「送金犯罪」全国初の摘発 2026年7月21日
- 警察庁「令和8年犯罪収益移転防止法の改正について」/送金犯罪の解釈の資料/注意喚起のポスター
- 埼玉県警察「けいさつ総合相談センターのご案内」
確認日:2026年11月3日

