結論:富士見市の新庁舎は、2029年(令和11年)中に建物が完成し、2030年(令和12年)1月に使い始める予定です。建つ場所は今の市役所の敷地(大字鶴馬1800番地の1)で、現本庁舎と文化の杜公園の間。事業費は基本設計時点の概算で約158億円ですが、市は物価上昇で183億円程度まで増える可能性も示しています。

新庁舎は「2030年完成」とひと言でまとめられがちですが、市の資料では「建物の完成」「使い始め(供用開始)」「工事がすべて終わる時期」は別々の日付です。場所も方位ではなく「現本庁舎と文化の杜公園の間」と書かれています。この記事では、市の新庁舎ページと基本設計、FAQ、10月5日に始まったサウンディング調査の資料を読み、工程・場所・費用を一つずつ確かめました。
富士見市の新庁舎はいつ完成する?
市のFAQは「令和11年中に完成し、令和12年1月の供用開始を予定」としています。つまり建物ができあがるのは2029年のうちで、窓口が新庁舎に移って市民が手続きできるようになるのが2030年1月、という順番です。
ただし、2030年1月で工事が終わるわけではありません。新庁舎へ引っ越したあとに、分館の改修、今の本庁舎の解体、駐車場などの外構工事が続き、すべての工事が完了するのは令和13年度(2031年4月〜2032年3月)の予定です。「完成」を建物の完成と読むか、敷地全体の完成と読むかで2年ほどずれるので、ニュースを読むときはどちらの話かを見分けると混乱しません。
- 2026年4月〜2027年9月水路(堀)の移設工事
庁舎敷地を文化の杜公園側に広げるため、敷地と公園の間の水路を付け替えます。
- 2026年10月5日〜21日建設業者向けサウンディング調査
発注方法などを業者にアンケートで聞く調査。結果と今後の方針は12月をめどに公表予定です。
- 2027年度本体工事の発注・着工
新庁舎建設工事を発注し、年度中に建物本体の工事を始める予定です。
- 2029年中新庁舎の建物が完成
2030年1月に供用開始(窓口が新庁舎へ)。
- 2030年〜2031年度分館改修・旧庁舎解体・外構
この順で工事を進め、2031年度にすべて完了する予定です。
新庁舎はどこに建つ?移転はしないの?
新庁舎は今の市役所の敷地に建て替えます。市の説明は「庁舎敷地を文化の杜公園側に拡張した上で、現本庁舎と文化の杜公園の間に新庁舎を建設」。工事工程の図を見ると、新庁舎は今の本庁舎の公園側(三芳富士見線と反対側)に建ち、今の本庁舎は引っ越しが終わるまでそのまま使われます。解体後の跡地は駐車場などになる計画です。先に隣へ新しい建物を建てるので、工事中に仮の庁舎を建てる必要がなく、その分の費用もかかりません。
「浸水しない高台へ移したほうがいいのでは」という声に対して、市は審議会で高台の市有地や民有地も候補として比べた結果、法規制、防災、財政負担、まちづくりの面から現敷地が最有力という答申を受けたと説明しています。敷地が浸水想定区域内であることは市も認めており、その対策として窓口を2階以上に置き、2階の床の高さを想定される浸水の高さ以上にし、免震の部材も水に強いものを使う設計にしています。
行き方は今の市役所と同じで、市の案内では東武東上線・鶴瀬駅東口から徒歩20分、または市内循環バス「ふれあい号」などのバスです。
注意:公園と図書館駐車場は2030年1月まで利用制限(予定)
中央図書館駐車場は2026年4月20日から、図書館の建物側22台分を除いて使えません(臨時駐車場が2か所あります)。文化の杜公園も5月7日から工事範囲の遊具・屋外トイレ・遊歩道の一部が使えず、キラリ☆ふじみ側から市民総合体育館側、富士見文化通り側への遊歩道は通り抜けできません。仮設トイレの利用時間は午前6時〜午後10時です。
事業費はいくら?なぜ増えたの?
市が示している概算事業費は約158億円です。これは新庁舎本体の工事費だけでなく、外構工事、旧本庁舎の解体、分館の改修、調査・設計・監理、机や棚などの備品、ネットワーク整備まで含んだ合計です。金額は計画が進むたびに見直されてきました。
概算事業費の変化
- 2023年度の基本計画:約126億円
- 2025年度の基本設計:約158億円(ネットワーク整備費を新たに計上し、物価上昇を反映)
- 今後の市の試算:183億円程度まで上がる可能性
約158億円の内訳と財源は、基本設計のページで次のように示されています。
| 費用の内訳 | 金額(概算) |
|---|---|
| 建築工事費 | 約97.6億円 |
| 外構等その他工事費 | 約23.9億円 |
| ネットワーク整備費等 | 約12.3億円 |
| 解体費 | 約11.4億円 |
| 什器・備品費、移転費 | 約7.7億円 |
| 調査・設計・監理費 | 約5.2億円 |
| 財源の内訳 | 金額(概算) |
|---|---|
| 地方債(借入金) | 約107億円 |
| 積立金 | 約37億円 |
| 一般財源等 | 約14億円 |
財源は主に地方債(借入金)と積立金、一般財源の組み合わせで、約158億円に対して地方債は約107億円、全体の約3分の2を借り入れる予定です。庁舎全体に使える補助金は確認できていないとしています。一方で市は「新庁舎整備費用のために市税を上げることはありません」と明言しています。コストを抑える工夫としては、設計者選定時の5階建て案を、総面積を変えずに4階建てにまとめ直し、約6.1億円を削ったと説明しています。
なぜ建て替える?今の庁舎はどうなる?
今の本庁舎は1973年(昭和48年)8月に建てられ、築50年を超えています。市の推定では耐用年数の目安は57.4年で、ちょうど令和12年度(2030年度)までです。調査で防災拠点に必要な耐震性能が足りないこともわかり、改修で延命するより建て替えるほうが望ましいと判断しました。手狭なうえ、窓口が本庁舎、分館、健康増進センター、中央図書館2階(教育委員会)に分かれていることも課題に挙げています。
| 項目 | 今の庁舎 | 新庁舎(予定) |
|---|---|---|
| 建物 | 本庁舎は1973年築、分館は1985年築 | 地上4階、延床約11,000㎡(別にピロティ約1,600㎡)、高さ約24.4m |
| 地震への強さ | 防災拠点に必要な耐震性能が不足 | 柱頭免震。震度6強程度でも機能を続けられる設計 |
| 浸水への備え | 敷地は浸水想定区域内 | 窓口・執務室・重要機能を2階以上に配置 |
| 窓口 | 本庁舎・分館・健康増進センター・図書館2階に分散 | 新庁舎に集約(分館は書庫・倉庫に転用) |
| 来庁者駐車場 | 新庁舎の半分ほど(FAQの「2倍近く」から逆算。台数は公式に記載なし。新庁舎整備室へ確認を) | 185台(全体266台)、バイク41台、自転車321台 |
今の本庁舎は新庁舎への引っ越し後に解体され、跡地は駐車場や外構になります。1985年築の分館は取り壊さず、一部を改修して書庫や倉庫として使い、今ある窓口や執務室は新庁舎へ移ります。
どんな庁舎になる?市民が使える場所はある?
基本設計では、窓口と待合が2階と3階、議場と議会のエリアが4階です。1階は窓口を置かず、市民に開いた階として計画されています。建物はカーブを直線でつないだ多角形で、どの方向にも「裏」をつくらない形。四角い建物と比べて面積の効率と費用の面でも有利だったとしています。
1階と2階を結ぶエスカレーターは、車いすやベビーカーの利用、維持費を考えて設けず、3階まで行けるエレベーターと階段にする方針です。省エネでは、エネルギー消費を50%以上減らす「ZEB Ready」を目指しています。
工事中の窓口や手続きはどうなる?
工事は今の本庁舎で業務を続けながら進めるため、2030年1月の供用開始までは、これまでどおり今の庁舎で手続きできます。新庁舎への引っ越しに合わせて窓口を休む日があるかどうかは、現時点で公式に記載がありません。工事中の来庁者駐車場の台数や配置も公式に記載なし。どちらも新庁舎整備室(電話049-265-8311)へ確認を。
健康増進センターの検診やフレイル予防の場所は、新庁舎ではなく中央図書館2階(今の教育委員会のスペース)に移す予定です。
「完成」「場所」「事業費」の正しい読み方
市の資料で区別されていること
- 完成:建物の完成は2029年中、供用開始(窓口が移る時期)は2030年1月、全工事の完了は2031年度(いずれも予定)
- 場所:今の敷地を文化の杜公園側に広げ、現本庁舎と公園の間に建てる。旧本庁舎の跡地は解体後に駐車場などになる
- 事業費:約158億円は基本設計時点の概算で、確定した金額ではない
「2030年完成」と書かれていたら、供用開始(2030年1月)と全工事完了(2031年度)のどちらの話かを確かめましょう。また事業費は「基本設計時点の概算」で、着工前の入札結果次第で動く数字です。市が10月5日に始めたサウンディング調査も、全国で公共工事の入札が不調に終わる例が増えていることを受け、庁舎の新築工事に参加する意欲や発注の分け方を業者に聞くものです。回答期限は10月21日(水)で、市は12月をめどに結果と今後の方針を公表する予定です。工事費の行方を知るうえで、次に注目したい発表です。
市民の意見を聞く場としては、2026年1月20日〜25日に4会場で基本設計の市民説明会が開かれ、延べ147人が参加しました。それ以前にも、基本計画づくりのアンケートや市民ワークショップが行われています。
出典
- 富士見市「新庁舎整備事業」
- 富士見市「新庁舎整備工事」(スケジュール・工事工程図)
- 富士見市「新庁舎建設基本設計」
- 富士見市「新庁舎建設工事に係るサウンディング調査(アンケート形式)」
- 富士見市「新庁舎整備事業FAQ」
- 富士見市「新庁舎整備に伴う水路移設工事」
- 富士見市「文化の杜公園と中央図書館駐車場の利用制限について」
- 富士見市「新庁舎建設基本設計の市民説明会」
- 富士見市「富士見市役所へのアクセス」
情報は2026年10月16日時点のものです。工程や事業費は今後変わる場合があります。


