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東松山の「やきとり」はなぜ豚?|みそだれと屋台の始まり

東松山名物「やきとり」はなぜ豚?豚のカシラ×辛いみそだれ、始まりは昭和30年代の屋台。カシラとねぎの串とみそだれのイラスト 歴史・文化・雑学

東松山で「やきとり」を頼むと、出てくるのは鶏ではなく豚の串です。大ぶりの肉とねぎを刺した串に、辛いみそだれを塗って食べる。初めての人は少し戸惑いますが、地元ではこれが当たり前の「やきとり」です。豚なのは、昭和30年代の東松山で豚の頭の肉が安く新鮮に手に入ったから。みそだれは、その肉を屋台で焼いた人たちが工夫した味です。

この記事の結論:東松山のやきとりは、豚の頭のほほとこめかみの肉「カシラ」を炭火で焼き、辛いみそだれを塗って食べる名物です。昭和30年代、加工肉の材料にしか使われていなかったカシラ肉が近くの食肉センターで安く新鮮に手に入り、朝鮮半島出身の人が屋台で焼いたのが始まりとされます。1本は約50gと普通の焼き鳥の2倍近く。市の「やきとりマップ」には約40店が載っています。

東松山のやきとり早わかり。肉は豚のカシラ(ほほ・こめかみ)、1本約50gで焼き鳥の2倍近く、白みそベースの辛いみそだれ、1頭分のカシラ約1.2kgから約24本。昭和30年代にカシラ肉を屋台で焼いたのが始まりで7店で焼鳥組合、昭和31年大松屋の夫婦が寄居町でホルモン焼きの屋台、昭和35年1本5円、昭和36年大松屋が東松山へ、その後1本100円が約20年続く、令和7年やきとりマップに約40店
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なぜ豚なのに「やきとり」?

東松山市の紹介によると、使うのは豚の頭部のほほとこめかみの肉、いわゆる「カシラ」です。昭和30年代、カシラ肉はハムやウインナーなど加工肉食品の材料が主で、そのまま食べる肉としてはあまり使われていませんでした。ところが東松山の近くには食肉センターがあり、このカシラ肉が安く、しかも新鮮に手に入りました。これを朝鮮半島出身の人が屋台で焼いて出したのが始まりとされています。

豚なのに「やきとり」と呼ぶ理由は、市や観光協会の紹介でもはっきりとは書かれていません。串に刺して炭火で焼くという料理の形から、そう呼ばれるようになったと考えられます。

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みそだれはどこで生まれた?

平成18年の市の広報では、「大松屋」がみそだれ発祥の店として紹介されています。店主の黒瀬タツ子さんは昭和31年、当時住んでいた寄居町で、朝鮮半島出身の夫と夫婦でホルモン焼きの屋台を始めました。最初は白モツを甘いしょうゆだれで出していましたが、やがてカシラ肉を使うようになり、昭和36年に東松山へ移ります。辛いたれは夫が調合していたようです。昭和40年代、お客さんがたれをこぼすようになったことから、粘り気のあるたれに改良したといいます。

いまのみそだれは白みそをベースに、にんにくや唐辛子などを店ごとに独自に配合したもの。辛さの強さは店ごとに違い、食べ比べの楽しみはここにあります。

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全国初の「焼鳥組合」と、5円から始まった値段

東松山のやきとりが町の名物として定着した理由の一つが、店どうしのつながりです。昭和30年代に7店で「焼鳥組合」がつくられました。東松山市観光協会は、これを全国で初めての焼鳥組合だと紹介しています。目的は、肉を安定して仕入れることと、値段をそろえること。お客さんがどの店に入っても安心して食べられる仕組みを、早い時期から町ぐるみでつくっていたわけです。

値段の移り変わりも面白い記録です。昭和35年は1本5円。そこから10円刻みで上がり、1本100円の時代が約20年続きました(いまは店によって違います)。安さを保てた理由の一つは、各店が自分の店で串刺しをしていたことだといいます。

普通の焼き鳥と何が違う?

比べる点東松山のやきとり一般的な焼き鳥
肉豚のカシラ(ほほ・こめかみ)鶏肉(もも・むねなど)
1本の大きさ約50g(一般的な焼き鳥の2倍近く)小ぶり
味つけ辛いみそだれを自分で塗る塩かたれで焼き上げる
定番の組み合わせカシラとねぎを交互にねぎま など

豚1頭のカシラ肉は約1.5kg、脂身を除くと約1.2kg。ここから約24本、1本約50gの串ができる計算です。平成18年当時、地元の精肉卸は1日に約120kg、約100頭分のカシラ肉を市内の約40店に届けていました。市の広報では、カシラ肉は一晩寝かせると身がしまって旨みが増すとも紹介されています。

初めてでも困らない、東松山流の食べ方

観光協会が紹介する「店の心得」
  • みそだれは、串に直接塗る
  • 串から外さず、串のまま食べる
  • 大騒ぎはしない

みそだれは店によって辛さがかなり違います。最初は少しだけ塗って辛さを確かめてから、好みの量に増やすのが失敗しないコツです。

注意 やきとり店の多くは夕方5時ごろの開店です。昼に行っても開いていない店が多いので注意しましょう。持ち帰り専門の店もあります。営業時間や定休日は変わることがあるので、出かける前に東松山市観光協会の「やきとりMAP」や「市内やきとり店の営業時間等」の一覧で確認するのがおすすめです。

どこで食べられる?店はいくつある?

東松山市によると、市の「やきとりマップ」に載っている店は約40店(令和7年時点)。日本でも有数の店の数です。マップは日本語版と英語版があり、東松山市観光協会のサイトからPDFで見られます。

テレビ東京「アド街ック天国」(2023年8月)では、昭和44年から続く「とくのや」、一味唐辛子を練り込んだ激辛だれの「こうやんち」、ねぎを3個刺すのが決まりの「桂馬」などが紹介されました。同じカシラでも、肉の大きさやたれの辛さは店ごとにかなり違います。テレビ番組などでは、北海道の室蘭、愛媛の今治と並べて「日本三大やきとり」の町として紹介されることもあります。

店の数約40店(市のやきとりマップ掲載、令和7年時点)
開店時間の目安夕方5時ごろからの店が多い
店の情報東松山市観光協会「やきとりMAP」(日本語・英語)
問い合わせ東松山市観光協会 0493-23-3344(平日8:30〜17:15)

よくある質問

「カシラ」ってどこの肉?

豚の頭の、ほほとこめかみの部分です。観光協会の紹介では、炭火でじっくり焼くと噛むほどに味わいが出るとされています。

鶏のやきとりはないの?

メニューは店によってさまざまなので、気になる人は店で確認を。ただ東松山で「やきとり」といえば、豚のカシラが定番です。

辛いのが苦手でも食べられる?

みそだれは自分で塗る店が多いので、量で辛さを調整できます。まずは少しだけ塗って試してみてください。

参考:東松山市「名物やきとりのルーツ」/東松山市観光協会「やきとり」/テレビ東京「出没!アド街ック天国」2023年8月19日放送

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