2026年10月1日、埼玉県の最低賃金が1,196円に改定されました。55円の引き上げは過去最大級ですが、扶養内で働いている人にとっては「同じ年収に届くまでの時間が減る」ことを意味します。
しかも2026年は、扶養の壁そのものが大きく動いた年です。長く語られてきた「103万円の壁」は、もうありません。
この記事では、埼玉県の最低賃金1,196円を前提に、壁ごとに月何時間まで働けるのかを早見表にまとめました。
改定額そのものや月収換算については【2026年10月〜】埼玉県の最低賃金は1,196円|55円引上げと月収換算で詳しく解説しています。
早見表:最低賃金1,196円で働ける時間
| 壁 | 年収の上限 | 年間 | 月あたり | 週あたり |
|---|---|---|---|---|
| 週20時間 社会保険(2026年10月〜) |
約125万円 | 1,042時間 | 86.9時間 | 20.0時間 |
| 130万円 健康保険の扶養 |
130万円 | 1,086時間 | 90.5時間 | 20.8時間 |
| 136万円 扶養控除・配偶者控除 |
136万円 | 1,137時間 | 94.7時間 | 21.8時間 |
| 150万円 19〜22歳の健康保険の扶養 |
150万円 | 1,254時間 | 104.5時間 | 24.1時間 |
| 178万円 本人の所得税 |
178万円 | 1,488時間 | 124.0時間 | 28.5時間 |
| 197万円 19〜22歳・特定親族特別控除 |
197万円 | 1,647時間 | 137.2時間 | 31.6時間 |
| 207万円 配偶者特別控除 |
207万円 | 1,730時間 | 144.2時間 | 33.2時間 |
時給1,196円・交通費を除いた賃金で計算しています。月あたりは年間を12で割った平均値です。時間はすべて切り捨てているため、表の時間ちょうどまで働いても壁を超えません。
2026年、「103万円の壁」はなくなりました
令和7年度の税制改正で、基礎控除と給与所得控除が引き上げられました。2026年(令和8年分)に適用される金額は次のとおりです。
- 基礎控除 104万円(合計所得金額132万円以下の場合)
- 給与所得控除 74万円(給与収入220万円までの場合)
この2つを合わせた178万円まで、本人に所得税はかかりません。
| 年分 | 所得税がかからない年収 |
|---|---|
| 令和6年分まで(2024年まで) | 103万円 |
| 令和7年分(2025年) | 160万円 |
| 令和8年分(2026年) | 178万円 |
この改正は令和8年12月1日に施行され、令和8年分(2026年1月〜12月の収入)から適用されます。2026年の年末調整で反映されるので、今年の働き方から関係してきます。
いちばん注意すべきは「週20時間」です
2026年10月、いわゆる「106万円の壁」(月額8.8万円の賃金要件)が撤廃される予定です。これにより、社会保険の加入基準は実質的に「週20時間以上」に一本化されます。
ここで問題になるのが、最低賃金の上昇です。
時給1,196円で週20時間働くと、年収は約125万円。130万円の壁より手前で週20時間に届いてしまいます。
つまり、「130万円を超えないように」と年収だけを見て調整していても、週の所定労働時間が20時間以上なら社会保険の加入対象になります。130万円の壁を守ることと、社会保険に入らないことは、もうイコールではありません。
社会保険の加入条件(従業員51人以上の企業)
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 2か月を超えて雇用される見込みがある
- 学生ではない
企業規模の要件は段階的に広がります
| 従業員数 | 対象になる時期 |
|---|---|
| 51人以上 | すでに対象 |
| 36〜50人 | 2027年10月 |
| 21〜35人 | 2029年10月 |
| 11〜20人 | 2032年10月 |
| 10人以下 | 2035年10月 |
勤務先の規模によっては、まだ週20時間を超えても加入対象にならない場合があります。まずは勤務先に確認してください。
壁ごとの中身
130万円の壁(健康保険の被扶養者)
家族の健康保険の扶養から外れるラインです。年間の見込み収入が130万円未満であること、月額に直すと108,333円以下が目安になります。時給1,196円なら月90.5時間です。
例外もあります。
- 60歳以上または障害者の場合は180万円未満
- 19歳以上23歳未満は、2025年10月1日以降の認定から150万円未満
- 一時的に超えた場合は、事業主の証明を添えることで原則として連続2回まで扶養を続けられる仕組みがあります
136万円の壁(扶養控除・配偶者控除)
親や配偶者が受けている控除がなくなるラインです。令和8年分では、扶養親族・配偶者の合計所得金額が62万円以下=給与収入136万円以下が条件になります。
ただし配偶者の場合は、136万円を超えても配偶者特別控除が年収207万円まで段階的に残ります。136万円をわずかに超えたからといって、いきなり全額がなくなるわけではありません。
178万円の壁(本人の所得税)
自分自身に所得税がかかり始めるラインです。2026年から103万円ではなく178万円になりました。
19〜22歳の学生アルバイトは別枠です
2026年分から特定親族特別控除が新設され、19歳以上23歳未満の子については、年収197万円まで親の控除が段階的に残ります。
- 年収136万円〜159万円:満額63万円の控除
- 年収197万円まで:段階的に減りながら控除が続く
税金の面では以前よりかなり働きやすくなりましたが、健康保険の扶養は150万円未満のままです。学生の場合、先に来るのは税金ではなく健康保険の壁になります。
時給が55円上がると、働ける時間は月4時間以上減ります
去年と同じ感覚でシフトに入っていると、年末に壁を超えてしまう可能性があります。
| 壁 | 1,141円のとき | 1,196円のとき | 差 |
|---|---|---|---|
| 130万円 | 月94.9時間 | 月90.5時間 | −4.4時間 |
| 136万円 | 月99.3時間 | 月94.7時間 | −4.6時間 |
| 178万円 | 月130.0時間 | 月124.0時間 | −6.0時間 |
月4〜6時間は、週に1時間ほどの差です。気づかないうちに積み上がるので、10月の時点で1月からの合計を計算し直すことをおすすめします。
計算するときの注意点
- 交通費の扱いが税金と社会保険で違います。通勤手当は非課税枠内なら所得税の計算に含まれませんが、健康保険の130万円判定には含まれます
- 月ごとのばらつきは年間合計で見ます。繁忙期に月100時間働いても、年間で収まっていれば問題ありません
- 賞与や臨時の手当も収入に入ります
- ダブルワークは合算します。勤務先ごとではなく、すべての収入の合計で判定されます
- 住民税は別の基準です。所得割は年収119万円前後からかかります。均等割の非課税限度額は市町村によって異なるため、お住まいの市役所・町村役場にご確認ください
よくある質問
週20時間ちょうどだと社会保険に入りますか?
「20時間以上」が条件なので、ちょうど20時間なら対象になります。避けたい場合は週19.5時間などに設定する必要があります。判断に迷う場合は勤務先に所定労働時間を確認してください。
社会保険に入ると損しますか?
手取りは一時的に減りますが、将来の厚生年金が増え、傷病手当金や出産手当金も受けられるようになります。年収が150万円を超えるあたりからは、手取りの減少分を上回るケースが多くなります。短期で見るか長期で見るかで答えが変わる問題です。
130万円を少しだけ超えてしまいました
残業などで一時的に超えた場合は、事業主の証明を添付することで、原則として連続2回まで扶養を続けられる仕組みがあります。まず勤務先と、家族の加入している健康保険組合に相談してください。
2026年10月の改定前に稼いだ分はどうなりますか?
年収の判定は1月から12月までの合計です。9月までの時給1,141円分と、10月以降の1,196円分を合算して計算してください。
まとめ
- 埼玉の最低賃金1,196円で130万円の壁までは月90.5時間
- 2026年から「103万円の壁」は178万円に変わりました
- 2026年10月以降は年収より「週20時間」が先に来ます(従業員51人以上の企業)
- 19〜22歳は税金が197万円まで緩和されましたが、健康保険の扶養は150万円未満
制度が大きく動いた年なので、去年の感覚のままだと判断を誤りやすくなっています。ご自身の勤務先の規模と、加入している健康保険の基準を、一度確認しておくことをおすすめします。
※この記事は2026年9月時点の公表情報をもとにしています。社会保険の賃金要件撤廃は厚生労働省が「2026年10月に撤廃予定」としているものです。個別の判断については、勤務先・健康保険組合・お住まいの市町村または税務署にご確認ください。

