2026年5月に公表された令和7年国勢調査の速報値で、朝霞市の人口増加率は4.27%。埼玉県内63市町村で第1位でした。2位の蕨市(1.65%)に2.6倍の差をつけた、圧倒的な数字です。
県全体の人口が調査開始から105年で初めて減少したなかで、なぜ朝霞市だけが伸びたのか。市が公表している人口分析の資料を読み解くと、その理由と、市自身が抱いている危機感が見えてきます。
どれくらい突出しているのか
| 順位 | 市町 | 人口 | 増減数 | 増減率 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 朝霞市 | 147,109人 | +6,026人 | +4.27% |
| 2 | 蕨市 | 75,510人 | +1,227人 | +1.65% |
| 3 | さいたま市 | 1,345,016人 | +20,991人 | +1.59% |
| 4 | 草加市 | 251,122人 | +2,818人 | +1.13% |
| 5 | 滑川町 | 19,908人 | +176人 | +0.89% |
| — | 埼玉県全体 | 7,287,169人 | -57,596人 | -0.78% |
増加数で見ても+6,026人と、政令市であるさいたま市(+20,991人)に次ぐ県内2位。人口14万人規模の市としては異例の伸びです。
市の分析:主因は「子育て世代の転入超過」
朝霞市が第6次総合計画の策定に向けてまとめた人口推計の検討資料には、はっきりこう書かれています。
本市人口増加の主要因である転入超過については子育て世代が多い
つまり増加を支えているのは生まれる人ではなく、移り住んでくる人。それも子育て世代だということです。数字で見るとこうなります。
| 2013年 | 2022年 | |
|---|---|---|
| 自然増減(出生−死亡) | +544人 | +14人 |
| 社会増減(転入−転出) | — | +504人 |
| 社会増減(2019年のピーク) | +1,545人 | |
2022年の内訳は、自然増がわずか+14人に対して社会増が+504人。増加分のほぼすべてが転入によるものだと分かります。
なぜ転入が続くのか:18.34km²に3つの駅
朝霞市の面積は18.34km²。県内でもかなり小さい部類です。そこに3つの駅があります。
- 東武東上線 朝霞駅
- 東武東上線 朝霞台駅
- JR武蔵野線 北朝霞駅(朝霞台駅と隣接し乗り換え可能)
市の公共交通のページによれば、東武東上線は東京メトロ有楽町線・副都心線、東急東横線、横浜高速鉄道みなとみらい線、相鉄線と相互直通運転を行っています。市はこれを「東京都心のみならず、横浜方面や神奈川県央地域へのアクセスが容易」と説明しています。
つまり朝霞台から乗り換えなしで渋谷・横浜方面まで行ける。加えて北朝霞から武蔵野線で県内を横断でき、朝霞台駅からは羽田空港への高速バスも出ています。14万人規模の市が持つ交通の選択肢としては、かなり厚い部類です。
人口密度は約8,020人/km²。川越市(約3,250人/km²)のおよそ2.5倍の密度に人が住んでいる計算になります。駅から歩ける範囲に住宅が集中している街だということです。
転入の「中身」は変わってきている
ただし、同じ転入超過でも年齢層は変化しています。市の資料によると——
- 2005→2010年、2010→2015年は10代後半から20代前半の転入超過が約2,000人に達していた
- 2015→2020年はその規模が大幅に減少し、転入超過のピーク年代が20代前半から後半へ移行
- 30代は2005→2010年が転出超過だったが、2010→2015年に転入超過へ転じた
- 10歳未満の子どもはいずれの期間も転出超過だが、規模は縮小し均衡に近づいている
若者が入ってくる街から、少し年齢の上がった子育て世代が定着する街へ。人口構成でも65歳以上の比率は県・全国より低く、30〜40代の割合が高くなっています。
それでも市が警戒している3つの理由
県内トップの伸びを記録しながら、市の資料の基調は決して楽観的ではありません。
1. 社会増が3分の1に縮んでいる
社会増は2019年の+1,545人がピークで、2022年には+504人。市は2021年・2022年について「人口の社会減」への突入も懸念すると記しています。
2. 自然増がほぼ消滅した
自然増は2013年の+544人から2022年は+14人。市は「人口の自然減」の局面に「突入しようとしている」と表現しています。合計特殊出生率は2015年の1.56から2022年には1.25まで低下。全国の1.26を下回りました(埼玉県の1.17は上回る)。市は低下幅が国・県より本市が最大だと分析しています。
3. 転入は東京からの流入に依存している
最も構造的な指摘がこれです。市は、埼玉県南各市の転入超過は「東京都からの人口流入に負うところが大きい」との見方を示し、東京都が減少に向かうなかで高水準の社会増を維持できるかは注視が必要だとしています。
朝霞市の成長は、東京が人を吐き出し続けることを前提にしている——市はそう認識しているわけです。
人口のピークは2045年の見込み
市は9通りのシミュレーションを行ったうえで、出生・移動ともに【中位】のケースを軸に検討を進める方針を示しています。その場合の見通しはこうです。
| 2035年 | 153,326人(基本構想の目標年次) |
|---|---|
| 2045年 | 154,955人(ピーク) |
| 2050年 | 153,687人 |
| 2070年 | 131,765人(高齢化率38.2%) |
つまりあと約20年は増え、その後は減少に転じるという想定です。移動が高位で推移すれば約18万人まで増える計算になりますが、市はその想定について「現実的かどうかは、議論が必要」と留保をつけています。
よくある質問
朝霞市の人口は何人ですか?
令和7年国勢調査の速報値で147,109人です(2025年10月1日現在)。前回2020年調査から6,026人増えています。
なぜ朝霞市だけ人口が増えているのですか?
市の分析によれば、主因は子育て世代の転入超過です。18.34km²の市域に東武東上線の朝霞駅・朝霞台駅、JR武蔵野線の北朝霞駅という3駅があり、東武東上線が東京メトロ・東急・相鉄と相互直通していることが交通面の背景にあります。
朝霞市の人口はこれからも増えますか?
市の中位推計では2045年の154,955人がピークで、その後は減少に転じる見通しです。2070年には131,765人、高齢化率38.2%と推計されています。
埼玉県で人口が増えた市町村はほかにありますか?
あります。増えたのは63市町村中10市町のみで、蕨市、さいたま市、草加市、滑川町、富士見市、鶴ヶ島市、川越市、所沢市、八潮市が該当します。
まとめ
- 朝霞市の人口増加率4.27%は埼玉県内1位。2位の蕨市に2.6倍の差
- 市の分析による主因は子育て世代の転入超過。自然増は2022年でわずか+14人
- 18.34km²に3駅。東武東上線はメトロ・東急・相鉄と相互直通し、横浜方面まで直結
- ただし社会増は2019年の+1,545人から2022年+504人へ縮小
- 市は東京都からの流入依存を構造的リスクとして認識
- 人口のピークは2045年・154,955人の見込み
出典:埼玉県「令和7年国勢調査速報結果による人口及び世帯数」、朝霞市「第6次朝霞市総合計画策定に向けた人口推計 検討資料」(令和6年4月)、朝霞市「朝霞市の公共交通」、朝霞市「朝霞市の面積値が変更になりました」。国勢調査は速報値のため確報値で変更となる場合があります。

