新座市の野火止用水は、江戸時代の承応4年(1655)に川越藩主・松平伊豆守信綱が開いた用水路で、今も水路沿いに緑道や公園が続き、歩いてたどることができます。新座市のリーフレット「野火止用水をあるく」の距離を足すと、平林寺から睡足軒の森、新座市役所、野火止公園を通って新座駅までが約2.3km。紅葉の季節は、平林寺とあわせて歩くのにちょうどいい道のりです。
用水沿いの見どころは、本流と平林寺堀が分かれる西堀の分岐点、春に桜が咲く本多緑道、平林寺の境内林と用水が一体になった野火止緑道などです。用水沿いのルートは、市のリーフレット「野火止用水をあるく」に地図と区間距離が載っています。

野火止用水とは?
江戸の人口が増えて水が足りなくなり、幕府は承応2年(1653)、多摩川から水を引く玉川上水の工事を始めました。総奉行は老中の松平伊豆守信綱。工事は難航しましたが、信綱が家臣の安松金右衛門らに補佐させて翌年に完成させます。
その功績で、信綱は自分の領地である野火止に玉川上水の水を分けることを許されました。関東ローム層の乾いた台地で、暮らしの水に困っていた野火止に、承応4年(1655)、安松金右衛門の指揮で用水が掘られます。今の東京都小平市から野火止台地を通って新河岸川まで、全長約24km。新座市の資料によると、工事は2月10日に始まり、40日後の3月20日には野火止に水が流れたと伝えられています。水を分ける割合は玉川上水7分、野火止用水3分といわれ、後世「伊豆殿堀(いずどのぼり)」とも呼ばれました。
用水ができたことで野火止の新田開発は進み、寛文2年(1662)には新河岸川に懸樋(かけひ)を渡して、対岸の宗岡(今の志木市)にも水が引かれました。昭和19年(1944)に埼玉県の史跡に指定されています。
一方で、昭和24年(1949)ごろから生活排水が流れ込むようになり、昭和39年(1964)には水不足で玉川上水からの分水が止まりました。その後、県と市が「野火止用水復原対策基本計画」をつくり、水路の浚渫などを進めてきました。
平林寺から新座駅まで歩くと?
市のリーフレットにある区間距離をつなぐと、平林寺を起点にしたコースは次のようになります。
| 区間 | 距離 | 近くのバス停(リーフレット記載) |
|---|---|---|
| 平林寺 → 睡足軒の森 | 隣接 | 平林寺 |
| 睡足軒の森 → 新座市役所 | 500m | 新座市役所 |
| 新座市役所 → 山下橋 | 700m | 山下橋 |
| 山下橋 → 野火止公園 | 250m | ― |
| 野火止公園 → 野火止用水公園 | 150m | ― |
| 野火止用水公園 → 新座駅 | 650m | 新座駅南口 |
合計で約2.3kmです。所要時間はリーフレットに記載なしなので、寄り道の時間も含めて余裕をもって歩いてください。平林寺から寄り道するなら、新座市立歴史民俗資料館(れきしてらす)まで550m、陣屋堀築堤まで睡足軒の森から350mです。
史跡公園の方へ:分岐点と本多緑道
もっと歩きたい人は、平林寺から平林寺堀に沿って史跡公園まで行き、本流沿いに新座駅へ戻るコースもあります。リーフレットの区間距離をつなぐと次のとおりで、合計は約5.6kmです。
| 区間 | 距離 |
|---|---|
| 平林寺 → 平林寺堀築堤 | 600m |
| 平林寺堀築堤 → 隅屋敷橋 | 100m |
| 隅屋敷橋 → 野火止用水平林寺堀(リーフレットの地点名) | 450m |
| 野火止用水平林寺堀 → 史跡公園 | 600m |
| 史跡公園 → 本多緑道 | 300m |
| 本多緑道 → 伊豆殿橋 | 1,300m |
| 伊豆殿橋 → 西分集会所 | 800m |
| 西分集会所 → 山下橋 | 350m |
| 山下橋 → 野火止公園 → 野火止用水公園 → 新座駅 | 1,050m |
途中の見どころは次のとおりです。
- 西堀の用水分岐点:野火止用水が分かれる場所で、右側の支流が平林寺堀、左側が本流です。中央には、昭和19年に県の文化財に指定されたことを記念した「野火止用水碑」があります。近くの史跡公園にはトイレがあります。
- 平林寺堀:平林寺は少し高い土地にあるため、堤を築いてその上に水を通し、流れる勾配をつくりました。土地の高低差を測ったうえで、水が流れやすい道筋を選んだと考えられています。
- 本多緑道:春に桜並木が彩る歩道で、素掘りの用水路を見ることができます。
- 野火止緑道:平林寺の境内林と野火止用水が一体になった道で、自然や生き物の観察もできます。
西分集会所から若宮八幡神社までは700m、史跡公園から西堀氷川神社までは300mで、寄り道もできます。
あわせて寄りたい場所
平林寺の境内には、用水を開いた松平信綱をはじめとする大河内松平家の廟所があります。信綱夫妻の墓(県指定史跡)のほか、用水を掘った安松金右衛門の墓もあり、平林寺堀も境内に引かれています。入山は9時〜15時30分の受付で、大人500円。紅葉の見頃や境内のきまりは平林寺の紅葉2026にまとめています。
睡足軒の森は、平林寺境内林の一部を新座市が開放している雑木林で、開園は9時〜15時30分、休園日は月曜・水曜(祝日の場合は翌日)です。
新座市立歴史民俗資料館(れきしてらす)(野火止2-9-37)の研修室では、「未来に残したい野火止用水の風景展」が開かれています。市内の小学生が描いた用水沿いの風景画を学校ごとに3期に分けて展示し(第1期10月2日〜11日、第2期10月14日〜25日、第3期10月27日〜11月8日)、受賞10作品は全期間を通して見られます。期の間の10月12日・13日・26日は会期に含まれていません。開館は9時〜17時(最終入場16時30分)で、今後の休館日は10月19日・30日、11月2日です。
歩くときの注意
野火止用水は県指定の史跡で、新座市は「野火止用水・平林寺の文化的景観保存計画」をつくって景観を守っています。水路に入らない、ゴミを捨てないなど、文化財として大切に歩きましょう。用水で何か問題を見つけたときは、市の「野火止用水問合せ先一覧」で連絡先を確認できます。
平林寺の境内では飲食やペットの同伴が禁止されていて、参拝者用の駐車場もありません。用水散歩は電車とバスで出かけ、新座駅や平林寺バス停を起点・終点にすると回りやすくなります。
よくある質問
野火止用水の長さはどのくらいですか?
東京都小平市の玉川上水からの分水口から新河岸川まで、全長約24kmです。市のリーフレットでは、分水口から川越街道までが約16kmで、その高低差は63mとされています。
問い合わせ先はどこですか?
新座市立歴史民俗資料館 文化財係(048-481-0177)です。リーフレット「野火止用水をあるく」は新座市のページからダウンロードできます。


