毎年1月の成人の日。その始まりは、蕨にあります。終戦の翌年、1946年(昭和21年)11月22日に蕨町が開いた「第一回青年祭」の成年式が、全国の成人式のもとになったとされています。その記念像が立つのが、蕨駅から歩いて13分ほどの城址公園(蕨市中央4-21)。蕨城の本丸跡とされる市内唯一の歴史公園で、北は和楽備神社の森、南は成年式の会場になる蕨市民会館に面しているので、像と神社を続けて見て回れます。
要点:記念像は1979年(昭和54年)1月15日、市制施行20周年と成人の日制定30周年を記念して建てられました。蕨市は今も、第1回の名前をそのまま使って「成年式」と呼び、成年年齢が18歳になった後も20歳を対象に開いています。次は2027年1月11日(月・祝)の第81回で、会場は公園のすぐ南の蕨市民会館です。

なぜ蕨が「発祥の地」なの?
敗戦から1年あまり。日本中が敗戦による虚脱状態にあったなかで、蕨町は「次の時代を担う若者を、まちをあげて励まそう」と青年祭を企画しました。中心になったのは町と蕨町青年団です。11月22日から24日までの3日間にわたる行事の初日に、成年を迎えた若者を祝う式典が組まれました。これが「成年式」です。
この取り組みが全国に広がり、2年後の1948年(昭和23年)に「国民の祝日に関する法律」ができて、1月15日が「成人の日」になりました。市は「成人式の起源は蕨町の第一回青年祭に由来するとされている」と説明しています。
第1回はどんな式だった?
市が公開している第一回青年祭の開催要項を読むと、当時の様子が具体的にわかります。
| 項目 | 第1回(1946年)の要項 |
|---|---|
| 日時 | 11月22日(金・当時の青年記念日)午前9時から |
| 会場 | 蕨第一国民学校の運動場(現在の蕨市立北小学校)。雨なら蕨劇場 |
| 対象 | 1926年(大正15年)11月22日〜1927年(昭和2年)11月21日生まれの町内の男女 |
| 主催 | 蕨町、蕨町青年団(後援・朝日新聞社) |
| 式次第 | 開式の辞(青年団長)、町長式辞、知事の言葉、来賓祝辞、成年者代表の誓いの言葉など |
目を引くのは、当日に町内の成年者の名簿を印刷して配り、町のあちこちに貼り出すと定めていたことです。町の全員で新しい大人の顔ぶれを知り、迎え入れようという意気込みが伝わってきます。参列者には成年者の家族や青年団員だけでなく、町民一般も含まれていました。
記念像はどこにある?見どころは?
記念像は城址公園の中にあります。公園は蕨市でただ一つの「歴史公園」で、室町時代に渋川氏が治めた蕨城の本丸跡とされる場所です。市の年表には、渋川義鏡が関東に下って蕨を領地としたこと、のちに蕨城が落城したことが記されています。
像を見たら、北側の和楽備神社へ。市の年表によると、明治の末に町内18の神社を合祀してできた神社で、公園の北側がその森に接しています。記念像が建てられた1979年1月15日は、当時の成人の日(月曜)でした。成年式の当日は南隣の市民会館が会場になり、市も混雑を見込んで時間に余裕を持って来るよう呼びかけているので、静かに見たい人は別の日に訪ねるとよいでしょう。
訪れる前に:城址公園にはトイレがありません。市は隣の蕨市民会館のトイレを使うよう案内しています。市の公園案内には駐車場の記載がなく、隣の市民会館も成年式では駐車場が狭いとして車での出席を控えるよう案内しています。JR蕨駅から約1.0km・徒歩約13分なので、歩いて行くのが確実です。
「成人式」ではなく「成年式」と呼ぶのはなぜ?
「成人式」として祝う全国の市町村とは異なり、蕨市は第1回の名前をそのまま受け継いで「成年式」としています。2022年4月に成年年齢が18歳に引き下げられた際も、市は発祥の地として、2018年(平成30年)11月22日、改正民法の施行を待たずに市長名で方針を示し、20歳を対象に成年式を続けると決めました。20歳が引き続き大切な節目であること、18歳の多くは受験や就職を控えた高校3年生であることが理由です。
2027年の成年式はいつ?
第81回蕨市成年式は2027年1月11日(月・祝)、蕨市民会館(コンクレレホール)で開かれる予定です。受付は10時20分から、式典は11時からの予定。対象は2006年(平成18年)4月2日〜2007年(平成19年)4月1日生まれの蕨市在住の人で、案内状は12月上旬に届きます。市外に住んでいても出席を希望すれば対象になり、生涯学習スポーツ課(048-433-7729)に連絡すると案内状が送られます。会場に入れるのは本人だけで、保護者は入場できません。体の不自由な人で付き添いを希望する場合は介助席があるので、事前に申し出てください。駐車場が狭いため、車での来場は控えるよう呼びかけられています。
あわせて回るなら
蕨の歴史をもう少し知りたいなら、中山道沿いの蕨市立歴史民俗資料館(中央5-17-22)がおすすめです。入館無料で、開館は9時〜16時30分。月曜(祝日の場合は翌火曜も)、国民の祝日(4月29日・11月3日を除く)、年末年始は休館で、成年式当日の1月11日(祝日)も休館です。蕨駅西口から徒歩約15分、またはコミュニティバス「ぷらっとわらび」西ルートの「蕨市役所・歴史民俗資料館」で降りてすぐです。専用駐車場はありません。市の年表ページは、蕨が中山道の宿場町として栄え、江戸の終わりから明治の初めには機織りのまちとして経済の基盤を築いたと紹介しています。そうした町の歩みを知ってから記念像を見ると、戦後すぐに若者を励まそうとした蕨町の思いがより身近に感じられます。
出典:蕨市「蕨市の成年式」(第一回青年祭開催要項を含む)、「民法改正後の蕨市での成年式の対応について」、「令和9年(第81回)蕨市成年式の開催について」、「城址公園」「歴史民俗資料館の紹介」施設案内、蕨市年表「蕨市のうつりかわり」(2026年10月11日確認)

