DX企業が挑む“田んぼオーナー”──地域共創プロジェクトへの参画
デジタル・トランスフォーメーション(DX)を推進するスパイスファクトリー株式会社が、埼玉県さいたま市桜区塚本郷で田んぼのオーナーに就任したという、ちょっとユニークでワクワクする取り組みがスタートしました。
この活動は、一般社団法人埼玉を食べるが運営する「塚本郷Re農vationプロジェクト」の一環で、都市近郊に残された貴重な里山環境を守りつつ、社員自らが米づくりに参加するというもの。
国連が定める「国際生物多様性の日」にあわせて発表されたこのニュースは、企業の社会的責任(CSR)や生物多様性保全に敏感な現代社会にぴったりの新しい企業のカタチを示しています。
「ごはん3,000杯分」ってどれくらい?──食と自然、そして社員のつながり
今回スパイスファクトリーがオーナーとなった田んぼは、約1,500㎡(約1.5反)。
ここで自然農法によって育てられるお米は、玄米で約500kg、お茶碗にして約3,000杯分にもなるそうです。
これは3人家族が毎日2杯ずつ食べても1年以上持つ量。なかなかイメージしづらいかもしれませんが、数字にしてみると改めて地域農業の力を感じますよね。
このお米は社員に配布するだけでなく、社内イベントのカレーランチ会や子ども食堂への寄付にも活用予定。
ただ「作って終わり」じゃない、人と人・企業と地域・食卓と社会をつなぐデザインが込められています。
塚本郷Re農vationプロジェクトとは?──“農”でつながる地域と未来
塚本郷Re農vationは、かつて米を「作って売る」モノの産業だった地域を、「体験」や「つながり」として農業を再定義し、都市近郊に残る里山の未来を守る取り組みです。
圃場整備をしていない田んぼで、水の流れやカエルの声、四季の移ろいを五感で感じながら、歴史や文化にも触れられる場となっています。
農業の現場を知り、地域の人たちと交流し、未来に残したい自然や文化を自ら体験できる──そんな価値を提供しています。
企業の田んぼ参画がもたらす4つの意義
スパイスファクトリーの参画は、単なる社会貢献に留まりません。
次の4つの観点から、大きな意義が期待されています。
- 生物多様性の回復:希少な動植物が生息する里山・水田生態系を守る
- 気候変動への対応:田んぼの炭素吸収や冷却効果で、自然由来のクライメートソリューションを実践
- 地方創生への貢献:地域資源を活用し、経済循環・人材還流・関係人口の創出を目指す
- 持続可能な企業活動:ESG経営やSDGsへの具体的な取り組みとして価値創出
社員の“心”と“からだ”が耕される、新しい福利厚生
今後は地元農家やプロジェクト運営団体と連携して、社員ボランティアによる田植え・稲刈り体験や、収穫米の社内配布、全社イベントでの活用、子ども食堂などNPO団体への寄付を展開予定。
社員が土に触れ、自然のリズムや生き物の多様性を体感することで、心の豊かさやチームワークも育まれます。
「育てて、食べて、つながる」。そしてその経験が仕事や企業文化にもプラスの循環をもたらします。
運営団体や地域からの熱い期待
プロジェクト運営の一般社団法人埼玉を食べる代表理事・安部邦昭さんは「1200年以上続く伝統的な稲作の里山環境を守るため、企業参画の新しい形が始まった」とコメント。
また、スパイスファクトリー取締役CSO・流郷綾乃さんは「会社という“土壌”を耕すことで、地域と自然と共に成長し続けたい」と思いを語っています。
まさに地域と企業が一体となって、社会や自然と向き合い、次の時代につなげていく姿がここにあります。
まとめ──“田んぼに立つ会社”という新しい働き方
スパイスファクトリーの田んぼオーナー就任は、働くことと生きることを見直すきっかけにもなりそう。
一杯のごはんから始まる社会共創のストーリーを、これからも注目していきたいですね!
詳しいプロジェクトの詳細は、塚本郷Re農vationプロジェクト公式サイトなどもぜひチェックしてみてください。