【前回までのあらすじ】
理想の秘密基地を求めて失踪したジョージ。
彼を探すためにジョセフ・ポルポル・レロレロの3人は「埼玉県内の面白いこと」を探す旅を始めた。
穴場のスポット・別所沼公園をやってきた二人は釣りに挑戦。
しかし、ジョージはおろか普通にお魚を釣ることもできず。
ポルポル「次こそは絶対釣りあげてやる!!」
レロレロ「この借りを返しにまた来ましょう。……今度はジョージやジョセフと一緒にね」
彼らは夕陽に向かって合流を誓うと、次なる場所を求めて走り出した。
レロレロ「急に走り出すのはやめてくださいよ! しかもどこかと思えばまた秘密基地ですか」
ポルポル「今回は間違いない。俺の第六感が“秘密基地にジョージの気配あり”と告げているんだ」
レロレロ「そんなこと言って……。適当な理由をつけて秘密基地に帰りたいだけだったんじゃないんですか?」
ポルポル「い、いや!そ、そんなことは無いぞ……ハハハ!」
レロレロ「ポルポルの思惑はともかく、ここでしばらく待つことにしましょうか。まだジョセフからも指令が来ていませんし」
ポルポル「まあまあ。それに俺の第六感も捨てたもんじゃないぞ。大体三割は当たるからな!」
レロレロ「三割って……これまた微妙な数字ですね」
ポルポル「そう言うなよ。野球だったら三割も打てれば好成績なわけだし……んっ!?」
レロレロ「どうしました、ポルポル?」ポルポル「座っている場所が妙に温かい。ここにさっきまで人が座ってたみたいだ」
レロレロ「そんなバカな。いや、でも確かに人がいた気配がしますね」
ポルポル「あっ、あの色の3DSは!!」
ポルポル「この画面の汚れ方、間違いない!俺の愛機のシェリー(第2回参照)じゃないか」
レロレロ「本当に汚いですね、ちゃんと掃除した方が……あれ、そういえばシェリーって」
ポルポル「ジョージに貸したままにしてた俺の愛機だ」
レロレロ「ということは、彼がここに来ていた!?」
ポルポル「そういうことだ!ほら、やはり俺の感は正しかった!」
レロレロ「ポルポルの第六感もたまには役立ちますね」
ポルポル「そうだろ、そうだろ!(初めて当たったぜ……)」
ポルポル「よし、まだ近くにいるはずだ!」
レロレロ「早くジョージを見つけ出して私たちのチーム“超紙袋バスターズ”を再結成しなくては」
数分後
2人「あ、あいつは、ジョージ!!」
ポルポル「逃げるぞ、追え!!」
レロレロ「ちょっと待ってください、ジョージ!!」
ポルポル「くそ、なぜ逃げるんだ!!」
ポルポル「あいつがいたところに何か落ちてる、これは」
レロレロ「ヨーヨー……みたいですね」
ポルポル「ヨーヨーといえば思い出すな、子供の頃の思い出を」
ジョージ「俺の美技に酔いしれな、スプリングスパイダーベイビー!!」
2人「おー、すげぇ!!」
ジョージ「はっはっは、見たか」
レロレロ「ええ、すごいです。その絶妙に寒い決め台詞が無ければ完璧でしたね」
ジョージ「分かってないなぁレロレロ、あれがあるからこそカッコよさが際立つんじゃないか」
ポルポル「ああ、最高にカッコよかったぜ。だがいい気になるなよジョージ、俺もすぐにお前に追いついてやるからな」
ジョージ「期待せずに待ってるぜ」
ポルポル「いやぁ、懐かしいなぁ。あの頃はジョージに張り合って色々なヨーヨーの技を磨いたもんだ……結局俺にあの技は出来なかったが」
レロレロ「ポルポルは手先が不器用ですからね」
ポルポル「チマチマした技は俺には向かなかったんだ!!」
レロレロ「おっと、思い出に浸ってる場合じゃないです。早くジョージを追いますよ」
数分後
ポルポル「見つけたぞ、ジョージ。ここが年貢の納め時だ」
レロレロ「私たち割と長いことだべってたんですが、随分あっさり見つかりましたね」
ポルポル「あいつも本当は俺たちの前に出てきたいんだが、一度逃げてしまったから出にくいんだろう」
レロレロ「だとすると、随分めんどくさい話ですね」
ポルポル「また何か落ちてる、今度はなんだ?」
レロレロ「コマ、みたいですね。ご丁寧に回す用の紐までついてますよ」
ポルポル「コマか、子供の時の事を思い出すな。あの頃の……」
レロレロ「ちょっと待って下さいポルポル。思い出すのは後にしましょう」
ポルポル「まあそういうな。すぐに追いついたら企画にならないじゃないか」
レロレロ「……何を言ってるかよくわかりませんが、なるべく早く済ませてくださいよ!!」
ジョセフ「いい加減諦めろよ、ジョセフ。うちの秘密基地は狭いし、足場も悪いからコマを回すのは無理だって」
ジョージ「止めてくれるなジョセフ。俺は不可能を可能にする男だ」
レロレロ「それはいいんですが、そこでコマを挑戦されてると私たちがくつろげないんですが」
ジョージ「なんて夢の無い奴らだ。ならこれを最後にしよう。いくぞー!!」
3人「何ィ、回っただと!!」
ジョージ「やったぞーーーーーーー」
ポルポル「あの俺たちの誰もが諦めていた状況でジョージは見事にコマを回して見せた。大した奴だよあいつは」
レロレロ「ポルポルがそこまで人を持ち上げるのは珍しいですね」
ポルポル「自分でも言うのもなんだがそうだな。多分シェリーが帰ってきてテンション上がってるせいだな」
レロレロ「でもシェリーを今まで借りパクしてたのジョージですよ」
ポルポル「……そ、そういえば!! あの単細胞紙袋野郎がッ!!」
レロレロ(ポルポルは相変わらず自分を棚にあげますね……)
数分後
ポルポル「あのオーラは、まさかジョージ。今回のトラップは何かな(ワクワク)」
レロレロ「ちょっと、トラップをメインに考えないでください。あくまでジョージを追ってるんですからね!!」
ポルポル「あ、あれは」
ポルポル「ソフトグライダー!!」
レロレロ「ああ、あの駄菓子屋とかで売ってる飛行機ですか」
ポルポル「そうだな。確か子供のころ俺とジョージでよくどちらがより飛ばせるか競争したもんだ」
ジョージ「見てろポルポル、俺は新記録を樹立する!!」
ポルポル「大きく出たなジョージ。なら俺と競争しようぜ」
ジョージ「よし、無限の彼方へ、さあ行くぞ!!」
ポルポル「き、消えただと!?」
ジョージ「はっはっはっ、俺の飛行機は天高く消えていった。俺の勝ちだなポルポル」
ポルポル「ちくしょう、そんなのありかよ〜〜!!」
レロレロ「結局その後どうなったんでしたっけ?」
ポルポル「俺のグライダーは同じように飛び立つことは出来なかったから俺の負けだった。ただあいつの飛行機もなくなったから俺が新しいのを買うはめになったんだ」
レロレロ「私みたいに自作すればよかったのに」
ポルポル「レロレロは確かに近所の児童館でよく作ってたな。安いんだし買えばよかったのに」
レロレロ「何言ってるんですポルポル、小学生には100円は高い買い物ですよ。それに自作も自分の好きなデザインが作れていいものですよ」
ポルポル「そうだな、俺も今度児童館に作りに行ってみるか」
レロレロ「児童館って……頭の中身が児童のままでもさすがにもう入れませんよ……。
あっ、そんなことよりジョージを追わないと!」
(数分後)
レロレロ「あそこにいますね。行きましょう、ポルポル!!」
ポルポル「ようやく追い詰めたぜ。かくれんぼは終わりだ」
レロレロ「ちょっと待て、なんだ、このシーンは……どこかで見たことがあるような……」
ポルポル「なんだ、なんだかよくわからないがすごく切なくなってきたぞ……。まさか今までの回想は奴の走馬灯!?」
レロレロ「ああ、あの日、見た紙袋の名前を僕たちは知っている……」
ポルポル「どことなくジョージの身体も薄く見える……。しっかり俺たちの手でかくれんぼを終わらせなきゃいけない。そういうことなのか……」
二人「もういいかい?」
謎の紙袋「もういいよーーー!」
二人「ジョージ、みーつけた!!」
謎の紙袋「見つかっちまったな……」
レロレロ「ジョージ、手間を掛けさせやがって……」
ポルポル「ジョセフにも報告しなきゃいけませんね。こんなに薄くなって、もう成仏しそうじゃないですか」
謎の紙袋「おいおい、俺はまだピンピンしてるぞ。それに俺はジョージじゃなくて“ジョセフ”だ!!」
二人「はぁっ!?」
ポルポル「そんなバカな!! それにジョセフはこの前見たとき激太りしてたじゃないか!!」
ジョセフ「ああ、それならインフルエンザにかかって激やせしててな。だいぶ存在感も薄くなっちまったんだ」
レロレロ「だったら、さっきはなんであんな意味深なことを言ったんですか!?」
ジョセフ「なんかすごい形相で二人が追いかけてくるから和ませてやろうかなと……」
二人「……」
二人「紛らわしいわッ!!」
レロレロ「ちなみに道中に置いてあった懐かしのおもちゃはなんだったんです?」
ジョセフ「隠れるための時間稼ぎだ。多分ポルポルが引っかかってくれると思って」
レロレロ「あれは本当にトラップだったんですね……。ということはあの3DSもシェリーじゃなくて、ジョセフの持ち物だったんですか」
ジョセフ「何のことだ?俺の3DSは家に置きっぱなしだぞ」
レロレロ「なんですって!?」
二人「まさか、ジョージはここに来ていた!?」
ジョセフ「今なら、まだ間に合う。すぐにジョージの後を追おう」
三人「行くぞッ!!」
近いようで遠い彼らとジョージの距離。
しかし、その距離が縮まらないからこそ見つけられる楽しみもある。
これにて“ジョージを探す旅”の紹介はひとまず完結となるが、遊び心が尽きない限り、彼らの旅(と言う名の寄り道)はいつまでも続くだろう。
偉大なる探求心に幸あれ。
【終幕】
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