鴻巣グルメのパイオニア 川幅うどん驚きの太さ【埼玉ブルース第39回】

埼玉ブルース

誰が言ったか知らないが、訪ねてみれば確かに感じる魅力のご当地をさすらう「埼玉ブルース」。

我らが埼玉県のみならず、全国的な知名度を誇る鴻巣市のひな人形。今なお脈々と受け継がれ続ける伝統文化に触れたあとは、「やっぱり地元グルメも味わってみたいんです!」

ということで、

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先週訪ねた「ひなの里」のおひな様に別れを告げて歩くこと約5分、お邪魔したのは県道57号線沿いにある「めん工房 久良一」さん。石臼挽きの粉による手打ち麺とこだわりの天然だしが自慢の、地元では知らぬ者なしという超有名店です。

数ある人形店をはじめ、さまざまな商店が活気を見せるこの界隈でも目を引く外観は、昔ながらの日本家屋そのもの。これは大変期待できそう!

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早速伺ったお店の中は、その”わびさび”のきいた店構えにふさわしい風格を漂わせつつ、
どこか懐かしい印象も。店名の語感からも連想される蔵のような造りの
高い天井と採光窓もあいまって、とても開放的で明るい雰囲気。

まさに老舗の佇まいですが、なんと意外にも創業は平成に入ってから、
当代のご主人がすべて一からはじめられたというからオドロキです。

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そんな木目調の一画には、ここ鴻巣の地元グルメとして知られる「川幅うどん」の提灯も。

実は、こちらの久良一さんこそ、この川幅うどんを考案した人呼んで
”鴻巣グルメのパイオニア”。そのおいしさは、県内外を問わず人気を
集めるだけでなく、数多くの芸能人が足繁く通い詰めるほど。

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数多くのファンを引きつける人気の秘訣は、ここ周辺では珍しいという関西風の澄んだだし。
そして、ずばり!何と言っても、この手打ちの麺を抜きには語れないでしょう!

毎日朝と晩の二回にわたって、ご主人自ら仕込みをしているとのことで、
ご無理を言って作り方を見せて頂いちゃいました。

“畳んで、伸ばして”と、ここまでの作り方は、通常のうどんと
変わらないように見えますが……

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!? 普通のうどんとは、やっぱりどこか違うような!?

その違いを探るには、ぜひとも食べてみなくては! 早速注文をお願いし、
「一体どんなものが出てくるのか?」と胸を高鳴らせ、かつお腹を空かせながら
待っていると……

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「お待たせしました~♪」と、女将さんの朗らかな声とともに運ばれて来たうどんは、
なんとも彩り豊かでとってもおいしそう!

ここ久良一さんで提供している「川幅うどん」は、全部で3種類(2015年3月現在)。

取材に伺ったこの日は小春日和だったため、その中から冷製をチョイス。
すこし覗き込むだけで鼻をくすぐるだしとレモンの香りが非常に食欲をそそります。

これまで数々の胃袋を鷲掴みにしてきたはずの、ここ鴻巣きってのご当地グルメ。
とはいえ、特に変わったところは見受けられないのだが……。
そう思いながら、やや訝りつつ、麺を持ち上げてみると、

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ななななななんと!和食の王道であるうどんの概念を覆すまさかの
極太麺がお目見え!

いや、極太ではなく、これはワイド麺というべきなのか!?
その幅なんと約8cm!

通常では讃岐うどんが約3mm、一般に「太い」といわれる伊勢うどんの
1cmから見ても、ざっと8倍以上の幅の広さ。こちらの麺は長さもあるため、
こうしておはしで持ち上げたさまは、さながら荒川の壮大な流れのよう。

おはしを手にしたまま、思わず立ち上がってしまうほど果ての見えない長さ。
しかし、こんな暴挙に出ても破れたりしないのは、ひとえにご主人の腕のなせる業。

開発の当初には途中でちぎれたり穴が開いてしまっていたものに、
たゆまぬひらめきと努力を凝らすことで、こうして食感とインパクトを
兼ね備えたうどんを実現したのだとか。

提供画像

そもそも川幅うどんとは、その名前のとおりに「川の幅」にちなんだうどん。

先週からのおさらいになりますが、ここ鴻巣市と吉見町の間を流れる荒川の川幅は2,537mで、
全国一。ここを跨がる御成橋のたもとには、日本最長であることを記念した
標も建てられています。

この事実をさらにアピールしようという働きかけを受け、ご主人によって
試行錯誤が繰り返されること3週間。いろいろな方に試食をしてもらい、
改良を重ねて、見事にお墨付きを得たことから川幅うどんの歴史が幕を開けました。

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以来、口コミを中心に評判は広がり、地元の方だけでなく遠方からも、この味を求めて
多くのお客が見えているそう。特に、これからの行楽シーズンには川幅うどんは
観光客をはじめ、大変な人気を集めます。

ちなみに、この冷製川幅うどんにはワイド麺だけではなく、実は並麺も。
それぞれの食感を味わって食べ比べられるのもお徳でうれしい限りです。

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止まらぬおはしの勢いに任せて食べ進めて来たものの……こうした
“めん工房”には珍しく、なぜか食卓にはごま油がある…だと…?

そういえば、メニューに「入れるとコクが出ます」と書かれていたような、、、

しかし、いくら変り種とはいえ、こんな美味なるものがさらにおいしくなることなんて
あるのだろうか?「ここはだまされたつもりで行ってみるしかないのか?」と、なかば諦めの
境地で恐る恐るかけてみたところ……うん、これは大正義と言っていい
最高の口当たりじゃないか!

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一見すると邪道に思える組み合わせながら、さっぱりしただしの風味と
ごま油の香ばしさが、なかなかどうしてベストマッチ。今までに味わったことが
ないだけに、どこかくせになって後を引きます。

人目を忍んでかっこんでしまいたい食欲を抑えて、おはしと一緒に付いて来た
ナイフとフォークで見栄えよく写真を撮ろうものにも、
ついぞ使いどころは見出せませんでした……。

めげることなく、そのまま本能にしたがって、

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なんと、まさかの完食☆

この写真では随分と大きい器に見えるでしょうけれども、実際にも大きかったりするのです。
まさか食べ切れるとは思っていなかったのに、気が付くと空になっていたのは、
妖怪ならぬこのおいしさのせいなのね(そうなのね)。

「最後の一口までおいしく食べてもらえるように」との配慮からあまり塩分を
強くしていないため、この汁ごとだしの利いたスープ感覚で味わえてしまう。
そんなところも、今日の健康志向ブームに生きる老若男女から人気を集めるヒミツかも。

確かにボリュームがあるとはいえ、川幅うどんと普通のうどんで食感の違いを
楽しめるうえに、途中でレモンをしぼったりごま油を加えたりと味に変化も
つけられるので、一石二鳥どころか四鳥くらいの勢いで食べ尽くしてもらえそう。
「これぞ!」と思われる方は、自分なりのこだわりの味を探してみるのもいいかもしれません。

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たらふくになったお腹を抱えて向かった出入り口には、なんとも心温まるメッセージが。
はい、またリピしに絶対来ます。

個人的には、この未体験の食感をお若い方にこそ味わってみて欲しいけれど、
固いものを噛んだり飲み込んだりすることが苦手なご高齢の方やお子様にもうってつけと言えそう。

同じようなメニューとしてカテゴライズされそうですが、いわゆる
名古屋名物のきしめんよりもモチモチとして歯ごたえがあり、お隣り群馬を代表する
ひもかわうどんとは似て非なる未知ののどごしをぜひとも一度は食べてみてください。

【今回取材させて頂いた久良一様】

昼の部 11:30~15:00 (L.O. 14:30)

夜の部 17:30~21:00 (L.O. 20:30)

(木曜定休)

公式HP:http://curaichi.page2.jp/menu.html

公式ブログ:http://ameblo.jp/kounosu-curaichi/

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