埼玉各地のプール季節外れに話題をさらう【埼玉ブルース第26回】

誰が言ったか知らないが、訪ねてみれば確かに感じる魅力のご当地をさすらう「埼玉ブルース」。
「夏だ、プールだ、スイミングだ！」。そう叫んだ暑さは何処へやら、今年も残り二ヶ月となり後は

冬将軍の到来を待つばかり。人気を失った海は河○隆一を筆頭に人目を忍ぶカップル達に占拠され、
木の葉にまみれたプールは荒廃の一途をたどっていると言う……。

そんな過酷な運命に晒されているはずの埼玉県各地のプールが季節外れにも話題を攫っていると聞き、

早速噂の現場へ伺ってみることに。

周辺には国道17号が走っているものの、なにやら雑木林に囲まれて鬱蒼とした雰囲気が広がっている。
これはもしかして、もしかしなくても、もしかして欲しくない方向に話が広がるのではと背筋を凍らせつつ
深緑のトンネルを進んで行くと、

その先にあったものは、まさかの人だかり…だと……？

とんでもなく賑わいを見せているプール外縁では屋台どころか売り歩きまで登場すると言う盛況っぷり。

めちゃくちゃご機嫌な人々の笑顔は閑散の二文字とは無縁そのもの。二人の世界に浸りたいカップル達が見たら、
泣いて逃げ出すレベルです。

そう。実は、こここそが我が埼玉県で最初の水上公園プールなのである。

その名の通りに、夏はプールとしてイケメンやギャルに愛されている水場は、こうして秋を迎えると
一転釣り場として釣りキチ（失礼！）のおじ様方のご支持を得ているのだそうな。

この日はイベント開催日だったと言うこともあって、県内外から人種や年齢の枠を超えた様々なファミリーが
いらしていた模様。この釣り場自体もご夫婦連れや親子さんコンビがたくさんいらっしゃいました。

例年７月の中旬から８月末日まで運営していると言うこのプール。

ってことは、つい三ヶ月前までは普通に人が泳いでいたのか……。
ナウなヤング達が小粋なクロールを見せたであろう水中で、
今はお魚さんが華麗なヒレ泳ぎをご披露中。

同じ被写体でも可愛い子ちゃんをお届け出来ずに、これを読んで下さっている方には、
何と言うか、実にすみません。

そんな夏の名残りが感じられる水上滑り台は思わず圧倒される規模ですが、
その他のプールフィッシング場も負けず劣らずゴイスーなモノをお持ちらしい。

ここからお魚さんをだばっと放流することもあるんですか？と言う
偏差値０の問いにもご丁寧なご応対を頂いたご担当者様よりのお答えは、
「それには余計な労働力が掛かりますし、何よりも折角の新鮮な魚を傷付けてしまうので……」とのこと。

そうですよね、あれは人間がわーきゃー言いながら楽しむためのものですよね。
もっと言うなら、今が我が世と楽しむカップルの（ｒｙ

だが、しかし……ここは秋ともなれば釣り人のための憩いの場。

ふと見渡した周囲には、夏季の活気とは違うストイックな空気を醸しながら魚と真剣勝負を
繰り広げる猛者達ばかり。ひたすら寡黙に釣り竿を握るその姿は、まさに文豪ヘミングウェイの傑作
『老人と海』で描かれるサンチャゴそのもの。

その姿に感化され、特別な装備を持って来なくても￥1,000でお貸し出し頂けると言うので、

調子に乗って試してみる。

とは言え”ど”の付く初心者なため、何処をどう持ったらいいのかすら分からんじゃないか……。
と言う訳で、ひと通りのレクチャーを受けてから、遅ればせながらいざトライ！

釣りがお好きな方にとってはやきもきなさること請け合いでしょうが、
「読者の皆様がお手を煩わせるまでもありませんよ、ここは私めが」と
高らかに言い放ってはみたものの、

なんとはなしに立ってしまった死亡フラグに准えるようなボウズっぷりを嘲笑うように水中を優雅に泳ぐお魚くん達。

正直「釣りなんて竿を握っていればなんとかる」なんて風評に釣られた自分を全力でしばきたい。

一見すると簡単じゃないかと思いきや、まさかのこの体たらく。俗に釣りが奥深い趣味と言われているの
理由が分かった気がするものの……ギョギョーッ、こんな辱めは捨て置けません！

そうは言ってみたものの、悲しいかな自力では到底釣れそうにないので、お近くにいらした
お父さんのビクを見せて頂くことに。物凄い数だと思いきや、「釣り歴数十年のひとコマにしてはまだまだ（！）」
なのだそう。こちらは土・日・祝日には午前６時から営業されているそうですが、
お声をお掛けした方は、どなたも皆さん開園からいらしているんだって仰るから、さらにビックリ！

こうして釣った魚は、実は持って帰れるのだとか。

その不足分の補給もあって、月に二度は業者さんからの放流があると聞いて、