誰が言ったか知らないが、訪ねてみれば確かに感じる魅力のご当地をさすらう「埼玉ブルース」。
昨今真剣に問題になっているデング熱騒動の裏で「実はテング熱だと思ってた」と言うこれまた
別の深刻な問題が勃発中。思わぬかたちで天狗が注目される中、
こうなったらかっぱも黙っちゃいられない!
と言う訳で、今回はかっぱの面影を求めて、こちら志木市にお邪魔して参りました。
いつも以上に冒頭の入りが苦しかったかな。。。
東武東上線志木駅に降り立った途端に、その構内からかっぱがお出迎えしてくれた。
昔とあるCMに出て来たまねき○こダックよりもぶっちゃけ完成度が高くて可愛い。しかしながら、
その紹介の後に続く「だよ」が残念さを誘います。
実は、この志木市はほかに比肩する存在のない埼玉県でも随一のかっぱ所縁の地。
先程のまねきがっぱにはじまり、市内の各名所の間を縫うように至るところでかっぱの姿を拝めると言う。
かっぱで町興しと言うぶれないポリシーは、こんな何気ない場所にも色を添えているようだ。
所謂遊歩道に飾られたレリーフの一枚だが、もうちょっと何とかならなかったのだろうか。
やけにリアルだが、この世の中、現実をそのまま伝えることが美徳とは限らない。
子供が見たら泣いちゃいそうです。
気を取り直して次なるかっぱ像を探しに駅前広場へ出ると、そこには周辺の思いの外シティな雰囲気とは
明らかに隔絶された謎の物体が。
恐る恐る近寄ってみると、そこに次なるかっぱを発見。未確認動物をこんなに立て続けに
何匹も確認出来るとはなんだか拍子抜けだが、それも埼玉一のかっぱ王国にあっては
仕方ないのかも知れない。
ここ志木市が盛んにかっぱを推し進める理由のひとつに、古くから残るかっぱに関する
言い伝えがある。曰く、たびたび悪さをしでかす子がっぱをお地蔵さんが諭したところ、
今後は決して殺生などしないことを約束して徳を積むことを誓ったのだそうな。
それから悪事はぱったりとなくなって、この地には再び平和が戻った。お地蔵さんの許には、
今でも時折かっぱからお礼のしるしとして川の幸が届くと伝わっている――。
と言うのが、その口伝の結びなのだが……
おい、ちょっと待て。決して殺生はしないんじゃなかったのか!
一見ええ話に感じる民話の裏に隠された世知辛過ぎる真実。
そりゃあ、かっぱの顔もこんな風に歪んじゃいます。
思わぬ味噌が付いてしまったものの、なんと立て続けに3匹のかっぱを見付ける。
こうなったら某なんとかモン・トレーナーにでもなった気分で悦に入ってみるしかない。
この三匹、近年かっぱ界も少子化の煽りを受けてか、実は核家族らしいのだが、
なかでも、この人のインパクトが半端ではない。どうやら「お迎え母さん」と
名付けられているようだが、一体何処から迎えに来たのか。そして、何処へ連れて行こうと言うのか……。
古からかっぱは人間から尻子玉を抜いて殺すと言われるが、その伝説も納得の恐ろしさに、
これは思わずお尻を護らざるを得ない。なんとも物悲しげなこの表情がまたおどろおどろしさを煽って来る。
と言う訳で、早くも影が差しはじめたかっぱ像めぐりのお伴に力強い味方を迎えてみた。
志木市の観光名所や名産品のほかにかっぱ像の点在地も詳しく記してあるこのリーフレットは、
市役所並びに駅前の出張所でも配布している。もちろん無料。しかし、何故この絵面なのか。
これを手に取った誰しもに「ここにこそかっぱだろうよ……」と、心の中で静かなツッコミを抱かせずには
いないほどの堂々たる向こう見ずさである。意外に茶目っ気満載の志木市、うかうかしていると
本当に尻子玉を取られかねないので、ここからは気を引き締めて行くべきだろう。
そう決意した矢先に見えて来た茶目っ気の権化のような館。これには吸い寄せられない猛者が
果たしてこの世の何処に居ると言うのか。
もし本当にかっぱが出迎えてくれたらどうしようなどと言うメルヘンな可能性を粉微塵も
考えることなくお招きに預かると、
その館内には志木市内外から取り寄せた新鮮な青果がずらり。どうやら商店のような趣きで、
地元の方に広く利用されているらしい。
最早かっぱとか関係ないような気もする……が、一応関連グッズもちゃんと置いてあるので
看板自体に偽りはないようだ。
このキャラクターは志木市文化スポーツ振興公社公式ゆるヲタカッパのカパルくんと言うらしい。
この記事が公開される頃には目下投票受付中のゆるきゃらグランプリにて、去年は1580キャラ中63位と
大健闘だったまさにかっぱ界屈指のアイドルである。
これからも是非この調子で頑張って志木市引いては埼玉県を盛り立ててもらいたいところ。
ちなみに、今年のランキングでは9月中旬現在なんと57位とさらなる躍進を遂げている。
埼玉県ゆるきゃら代表のコバトン・全国的にも知名度の高いふっかちゃん・そして、ゆるきゃら
の見本と言っても過言ではないカパル君。
もしかしたら、いずれこの並びが埼玉県にこのキャラありと県民を唸らせる三傑となる日も来る。かも知れない。
そんなかっぱ界のスーパー☆スターを尻目に、館内の隅っこの日陰から覗くまさかのこの顔である。
何を隠そうこのきず~なこそかっぱふれあい館のシンボル・キャラクター。この場所のオープンに伴って制作され、
広く公募で決定したその名前の命名者には表彰式まで設けられたと言う華々しい経歴ながら、なんとも悲しい
凋落っぷりである。
出来ることなら、もう少し日の目を見せてやって欲しい。固くそう願いつつ、
さらなる変り種かっぱを探しに歩を進めることにした。
【今回取材させて頂いたかっぱふれあい館】
コメント