紙袋伝説!ジョージを探せ!第6回 川越ノスタルジー「菓子屋横丁」

ジョージを探せ・秘密基地

【前回までのあらすじ】

理想の秘密基地を求めて失踪したジョージ。

彼を探すためにジョセフ・ポルポル・レロレロの3人は「埼玉県内の面白いこと」を探す旅を始めた。

次なる目的地は川越にある“大正浪漫夢通り”。

ポルポルとレロレロはその大正ロマンあふれる街並みや人力車の存在に興奮し、すっかり目的を見失いつつあった。

さらにそんな二人がたどり着いたのは“菓子屋横丁”と呼ばれる不思議なスポット。

そこで彼らを待ち受けているものとは……!?

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二人「菓子屋横丁!?」

ポルポル「一体どういう場所なんだ!? 名前の響きから美味しいイメージしか浮かばないぜ。

早く行こうレロレロ、俺はもう我慢できないぜ!!」

レロレロ「落ち着いてくださいポルポル、ヨダレがでていますよ」

ポルポル「これが落ち着いていられるか!!目の前においしいお菓子が待っているというのに」

レロレロ「すぐに行きますから待ってください。ここにこの街の説明が書いてあるので、それを読んでからでも遅くないでしょう」

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レロレロ「この場所“菓子屋横丁”は江戸時代末期から明治時代初めに江戸っ子好みの気取らない菓子をの作り始めたのが始まりらしいですね、昭和初期には70軒もの店があったらしいですよ」

ポルポル「江戸っ子好みか!!てやんでぇ、こちらは江戸っ子でぇい。今すぐオイラ好みのお菓子を売ってくれぃ!!」

レロレロ「貴方は埼玉生まれ埼玉育ちでしょう」

ポルポル「てやんでぇい、心はすっかり江戸っ子よ!!早く行こうぜ!!」

レロレロ「だから待ってくださいよ、まだ途中です。ここは環境省が“かおり風景百選”に選ばれているみたいです。

“時の鐘”(第5回参照)の“日本の音風景100選”といい、この街は本当にすごいですね」

ポルポル「かおり100選……なんていい響きだ、思わずヨダレが出てくるぜ」

レロレロ「かおり100選は別に食べ物だけに与えられる称号ってわけじゃないですけどね。いい風景にはいい香りが宿るという考えで選ばれるものですから」

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レロレロ「さて、そろそろ行きましょうか」

ポルポル「は、早く行こうぜ!!俺はもう頭の中が菓子のことで頭がいっぱいだッ!!」

レロレロ(もう完全に目的を見失ってますね……ジョージ、すみません……)

ポルポル「おい見ろよ、かっこいい顔看板があるぜちょっと行ってくるわ」

レロレロ「ああ、あれですか。いいですけど私たちが行っても意味ないんじゃないですか?」

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ポルポル「どうだ!!」

レロレロ「……まあ、やっぱりこうなりますよね」

ポルポル「カッコイイだろ?カッコイイよな?」

レロレロ(私たちの顔の構造では全然顔に見えないんですが、ポルポルは気づいてないようです)

ポルポル「どうよ!!」

レロレロ「楽しそうで何よりです……」

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レロレロ「いい雰囲気の道ですね、広すぎず狭すぎもしない道に、ソフトクリームの看板や手書きの看板などが並ぶ。優しい雰囲気でついつい童心にかえってしまいますね」

ポルポル「そいつはいい!!人間純粋でいることが一番幸せだからな」

レロレロ「ポルポルは純粋というか、もはや自由すぎる気がしますけどね……。さて、自由なポルポルの相手にも疲れましたし、どこか店に入りましょう」

ポルポル「んっ、何か言ったか?」

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ポルポル「おー、いいねぇ、この懐かしい感じッ!!」

レロレロ「この雑多にいろいろなものが置いてある感じ、たまりませんね」

ポルポル「アイドルの写真とかキャラクターもののシールとか、一見関係なさそうなものが立ち並ぶ店内。この雰囲気こそ独特で風情があるよな」

レロレロ「これぞ日本文化と言えるでしょう」

ポルポル「なあ、こんなに面白いものがいっぱいあるんだ、ちょっと別行動してどっちがより面白いものを持ってこられるか競争してみないか?」

レロレロ「どっちがより面白いものを買えるか……ですか。それならば、料金は500円以内に限定してはどうでしょうか?」

ポルポル「んー、せっかくだから大人買いしたかったんだが」

レロレロ「無制限にするより制約があったほうがいいじゃないですか。私も昔はお小遣いが500円と決められていたので、当時はそれをなんとかやりくりしていた。大人になった今ならばどれぐらい賢い買い物をできるかも確かめたいのですよ」

ポルポル「二人の勝負だけじゃなくて、子供の頃の自分との勝負ってわけか。それなら受けて立つしかないな!!」

こうして“500円以内で面白いものを探す二人の対決”が始まった。果たして二人は何を選ぶのか?

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ポルポル「いやー懐かしいなぁ、この駄菓子屋感あふれるパッケージ!!久々に見たけどなんか安心するわ。こっちのプラスチックの容器に入っている独特な味のドリンクなんて、反射的に買っちまいそうになる。……やばいな、欲しいモノが多すぎてキリがないぜ」

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レロレロ「ポルポルは面白いものと言いましたね。つまり、ここに売っているものだったらお菓子でなくても構わないということですよね。おそらく彼はお菓子をストレートに買ってくるでしょうから、私は裏をかいてオモチャで攻めるとしましょうか」

……1時間後

ポルポル「こっちの収穫はバッチリだぜ!!これなら俺の勝利は確実だな」

レロレロ「へぇ、大した自信ですが、どうせ自分の食べたいものを全部買っただけでしょう。それでは私のテーマ性のあるラインナップには勝てませんよ」

ポルポル「言うじゃねぇか、レロレロ。食欲は全てを凌駕するんだ!!あとで泣きながら土下座してもらうぜ」

レロレロ「ええ、そちらこそ私の策に腰を抜かさないように」

ポルポル「腰を抜かすだと……!? ほぅほぅ、もし少しでも驚いたら、この勝負“俺の負け”でいいぜ!!」

レロレロ「その言葉、忘れないでくださいよ?」

ポルポル「ああ、望むところだ」

二人「デュエルスタンバイ!!」

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ポルポル「俺のラインナップはコレだ!!」

レロレロ「ほう、遠足時によく食べたラインナップですね。なかなかいい感じじゃないですか」

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レロレロ「これは懐かしいですね。ベビースターラーメンに似た味ですが、それよりも少し味が濃い感じです。そしてなによりパッケージに描かれているおばあさんの力強さときたら」

ポルポル「お前にもこの良さが分かるのか?」

レロレロ「私達の世代でしたらおそらく一度は食べたことがあるでしょう、ノスタルジーを感じずにはいられませんね」

ポルポル「まあ大人になると自然とこういうお菓子は食べなくなるからな」

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ポルポル「見ろ、この名前はわからないけど駄菓子屋とかでよく見るあのチューブ状の飲み物だ」

レロレロ「このなんの味だがわからない独特の甘さを持ってるあれですね、これは『くるくるぼーゼリー』というんですよ。うまく切れなくて中身がこぼれてしまうのはよくあることでした」

ポルポル「さすがレロレロ、知識量だけはすごいな」

レロレロ「“だけ”は余計です。私の友達の家が駄菓子屋を経営していたので、その影響もありましてね」

ポルポル「なるほどな……。だが俺の最後の切り札はそういうわけにも行くまい、喰らえ俺の渾身の一撃を!!」

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レロレロ「なんですか、これは!!」

ポルポル「『ふくれせん』だ、すごいだろうこのインパクト」

レロレロ「中身はどうなっているんですか?」

ポルポル「空洞になっているぞ。味は醤油せんべいに近いんだが、普通のせんべいと違って食感もサクサクした独特の感じでな……。たとえるなら、少し厚みのあるポテトチップスといった感じだ」

レロレロ「なるほど、懐かしい商品だけで来ると思っていましたが、そのような新鮮な品も混ぜてくるとはなかなかやるじゃないですか。今度はこちらの番です」

ポルポル「よし、来いレロレロ!!返り討ちにしてやるぜ」

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レロレロ「これですよ、美味しそうなアイスでしょう」

ポルポル「なんだ?随分小さいな、もっと大きいのが欲しいんだが」

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……ポスッ。

ポルポル「えっ、なにコレ?急に飛んできたんだけど!!アイス型のオモチャか!?」

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レロレロ「ああ、すみませんねぇ、ポルポル。こっちが本物です」

ポルポル「間違えるとはしょうがない奴だな……。おっ、今度は食いがいがありそうなサイズだ」

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……ポンッ。

ポルポル「うぼぁ」

レロレロ「はっはっは、引っかかりましたね!!ポルポルッ!!」

ポルポル「おいおい〜!!よくもやりやがったな」

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レロレロ「ああ、ごめんなさいごめんなさい!!ガムをあげますから、そう怒らないで」

ポルポル「しょうがねぇなぁ。俺の心は瀬戸内海ぐらい広いからな。許してやるよ」

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バチッ!!

ポルポル「いてぇ!!」

レロレロ「ハッハッハ、貴方は本当に疑う事を知りませんね……。小学生奥義“ひっかけ三連星”にここまでハマるなんて」

ポルポル「ひっかけ……だと……」

レロレロ「ほら、昔やったでしょう?相手の肩を叩いて振り向いた相手の顔をつつく遊びを」

ポルポル「ああ、そういう“ひっかけ”か?確かにやったな……俺の場合はつつく代わりに虫を顔に近づけたりしたな。相手に泣かれて帰りの会で晒しものになったもんだ」

レロレロ「それはただの嫌がらせでしょう?」

ポルポル「俺は純粋な好意で虫を見せたかっただけなんだがな!!」

レロレロ(やられた方はたまったもんじゃないですけどね)

ポルポル「勝負は俺の勝ちだな!!」

レロレロ「いえいえ。私も貴方の選んだお菓子で感心しましたし、貴方も私に驚かされましたから、この勝負は引き分けですね」

ポルポル「おいおい、どう考えても俺の勝ちだろう」

レロレロ「おや、貴方が言ったんですよ……。少しでも驚いたら負けでいいと」

ポルポル「そりゃそうだが、あれはズルだろ!!俺の心の瀬戸内海が時化ちまうぞ!!」

レロレロ「そう言われましても……」

ポルポル「ならば、決着はこれでつけよう」

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レロレロ「なんですか、このあまりに長すぎるふがしは!! 一体どこで手に入れたんです?」

ポルポル「そこの“稲葉屋本舗2号店”に売っていたんだ。こんな素敵な代物は買うしかないだろう」

レロレロ「確かにこれはすごい……。でも、これを使ってどう決着をつけるつもりですか?」

ポルポル「勝負は簡単だ。両端から食べて行ってどちらがより多く食べられた方の勝ちだ」

レロレロ「えっ!? なんですそのルール?ただのポッキーゲームじゃないですか」

ポルポル「細かいことは気にするな、決着をつけるためだ」

レロレロ「え、ええ……」

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レロレロ(それにしても本当に長いですね、このふがし)

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レロレロ(そろそろやめないと残念なことになりかねませんね……でも、これは美味しい!! あと少しだけ……)

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チュッ。

二人「あっ……」

ポルポル「……」

レロレロ「……」

ポルポル「す、すまん、つい夢中になってたわ」

レロレロ「い、いいんですよ!! 気にしないでください……私もつい夢中になってしまって……」

 

〜〜♪♪♪

二人「ぬぉっ!?」

レロレロ「あっ、ああ、メールですね」

ポルポル「おう、ビックリしちまったぜ」

レロレロ(ええ、ビックリです……。危うくとんでもない趣味に目覚めるところでした)

ポルポル(みんなもポッキーゲームはほどほどにな……)

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レロレロ「ジョセフからメールです。また新しい場所の情報を入手したようですよ」

ポルポル「本当か、今度はどんな面白いものに出会えるか楽しみだな」

レロレロ「ジョージは今回も現れませんでしたね」

ポルポル「全く仕方のないやつだ。早く見つけ出して俺たちがこれまで行った面白スポットや楽しいことについて自慢してやらなきゃな!!」

レロレロ「ええ……」

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二人「よし、それじゃ出発だ!!」

すっかり目的がジョージ探しから面白いもの探しそのものになってしまっている二人。

果たして今度こそジョージは見つかるのか?

彼らの旅は、まだ始まったばかりだ!!

第7回へ続く

 

【今回取材させていただいたお店のデータ】

「稲葉屋本舗/稲葉屋本舗2号店」
住所:〒350-0062 埼玉県川越市元町2-7-6
電話番号:0492-22-2513
営業時間:9:00-19:00
定休日:年中無休

アクセス:川越駅、もしくは西武新宿線本川越駅から東武東上バス
「神明町車庫行き」に乗り、札の辻バス停で下車。
札の辻交差点を左折徒歩1分。

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